店先でよく見かける「たぬきの置物」。あれって一体どこで買えるんでしょうか。
ソフトクリームの看板を買って以来、存在感のあるかわいいものに対する物欲が強くなっています。調べてみると、滋賀県甲賀市の信楽焼きというそう。
久保田陶器店さんにて、たぬきたちのお出迎え
せっかくならじっくり選びたい!ということで、東京都町田市にある「たぬき屋 久保田陶器店」さんにお伺いし、たぬき選びのサポートをしていただきました。
店先にたぬきっ!!!
店内には素敵な陶器がズラリ。可愛い商品やアイディア商品も揃っていて、お店の方々も温かく接してくださり、プライベートでも来店しようと思う素敵なお店。その店先には………
想像をはるかに超えるたぬきの数!
たぬきは縁起もの
見れば見るほどかわいくて、いやされます。これはお家にもお店にも迎え入れたくなります。でもこのたぬき、ご存知の方も多いかもしれませんが、置いてあるのには、かわいい、いやされるという点以外にも理由があるようです。
「たぬきは『他を抜く』という意味で繁栄の縁起物です」(久保田陶器店で頂いた資料より抜粋)
あのたぬきが身に着けているものや、たぬきの表情や体つきには、縁起につながる理由があるのですね。これには僧侶の石田豪澄が詠んだ歌がついていて、「信楽焼八相縁起」というのだそう。
短歌のリズムですね
信楽焼八相縁起
笠…思わざるは悪事災難避けるため用心常に身をまもる笠
(災難から身をまもる準備を)
目…何事も前後左右に気を配り正しく見つむることを忘れめ
(周囲を見渡し正確な判断を)
顔…世は広く互いに愛想よく暮らし道を似って務めはげまん
(お互い愛想よく)
徳利…恵まれし飲食のみにこと足利て徳はひそかに我につけん
(人徳を身につけよう)
通…世渡りは先ず信用が第一ぞ活動常に四通八達
(信用第一の帳面)
腹…物事は常に落ちつきさりながら決断力の大胆をもて
(冷静さと大胆さを持ちあわせよう)
金袋…金銭の宝は自由自在なる運用をなせ運用をなせ
(金運を身につけよう)
尾…何事も終りは大きくしっかりと身を立てるこそ真の幸福
(しっかりとした終わりを)
なんだか自分に足りていないものだらけ。たぬきの必要性を、より感じます。
時代に合わせて変わるたぬきの形
そのよく見る「ザ」なたぬき以外にも、たぬきの世界はこんなに個性豊か。ポーズや持ちものが違うのには理由があるのでしょうか。久保田陶器店の方に伺いました。
「カラオケが流行ったときはマイクを持っているたぬきが作られるなど、時代に合わせたものが作られたりもしています」
カラオケたぬきさん、もしかして、ひとりカメラ目線のこの子でしょうか
カラオケたぬき、ここにもいた
縁起的な意味と、やはりかわいさやユニークさも兼ね揃えているのですね。
直感が大切なたぬき選び
運命の「たぬき選び」に入ります。最近は、お店より一般家庭で買われる方が多いとのこと。一般家庭にお迎えするのに、おすすめなのはどんなたぬきでしょうか?
「目が合ったたぬきです」
ズバリ!というふうにお答えくださった久保田陶器店の方。なるほど、直感で選ばせていただきます。ところで、置く場所に決まりってありますか?
「特にありませんが、毎日話しかけられる位置がいいと思います」
どうしよう、みんなかわいい。すべてのたぬきに対して直感がはたらいてしまう筆者のチャラさ。
「同じ型で焼いていても、焼き色や表情に違いが出るんです」と久保田陶器店の方。世界でひとつの存在ですよね。
この女の子たぬきの目、たまらない。
「開運」か「福」か…。縁起的な欲も出ます。
悩んだ末に決めたのは、こちら。
「福」がいいなと思ったのと、なんか鼻筋に惹かれて。
意外と軽い。
口が空いているたぬきなども。
そう、たぬきたちには穴が空いていました。「あ、花入れるんだっけ?」と思いましたが、久保田陶器店の方によると、だいたいは焼くときに空気を逃すための穴だそう。
ペットを迎え入れる感覚と同じ
生まれて初めてたぬきをおんぶしながら帰宅。包んでいただいた紙から顔がのぞきます。この感覚は、ペットを家に迎え入れるときと同じです。名前をつけて、大切に一緒に過ごします。
「いもくり」(つけた名前)の顔を見ると、穏やかな気持ちになります。2019年、幸福が多そうです。お店に足を運んで、直接選んでよかったです。
(武井怜)
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