瓶詰ウニの瓶はなぜ厚い?
ウニ美味しいですよねえ…
何気ない毎日の中でちょっとした贅沢がしたくなることがある。
いわゆるプチ贅沢というものだが、私の場合は食べ物である。
この間も長野産の天日干しぜんまいを1500円で購入。全部煮付けてもあっという間に食べてしまうだろう量。普段はその10分の1の値段のものを食べているけれど無性に食べたくなって買ってしまった。ちょっと地味な嗜好ではあるが、やはり美味しいものはおいしい。そんな私のプチ贅沢品の中に粒ウニの瓶詰がある。

この瓶詰ウニ、お値段の幅も広く、お高いものはめちゃくちゃ高い。
さすがに一瓶で2000円以上のものには簡単には手がでないので未経験ではあるが、とにかくとても美味しそうである。

ところで、アルコール漬けのウニの瓶詰は、山口県が発祥の地だというのをご存知だろうか。
萩を中心とする北浦地区は、全国有数のウニの産地で縄文時代の貝塚からもウニのトゲが発見されているんだそうだ。山口県では、ウニが豊富にとれたこともあって、塩漬けなどの加工もかなり以前からおこなわれていたらしい。そんな山口でウニをアルコールで漬けるようになったのは明治初期のこと。玄界灘の東隅に位置する響灘に浮かぶ六連島という小島で英国人の船員がお酒の席でうっかり誤ってウニの小鉢にジンをこぼしてしまったのだそうだ。
そして、それをそのまま食べみるとこれが思いもよらず美味だった、というところからアルコールに漬けるという新しいウニの食べ方が生まれたと言われている。

ウニの瓶詰めといえば、妙に気になるのがあの瓶の厚さである。他の瓶詰を圧倒するあの厚さにはどんな意味があるのか。北浦海岸の近くで明治17年からウニ加工をしているという中嶋商店のご主人にお話を聞いてみた。
「うちが創業したころはまだ塩漬けのウニだったようです。ウニの瓶詰が厚いのはウニがキレイに見えるということもあるんですが、中身を少しでも大きく見せたいということもあるんですよ。
今、中瓶は70gなんですが、昭和57,8年頃までは80g入れてました。私は家を継いで30年ほどになるけど、今ほどは厚くはなかったですよ。時代と共に少しずつ厚くなったんですね。同じ瓶の大きさでもガラスが厚くなると量が減らせますから」
中身が70gの瓶は、瓶全体でどのくらいの重さになるのかも聞いてみると、「う〜ん、測ったことないからねぇ。ちょっと待ってね、計ってみますね。あっ320g強。
意外と重いねぇ」と中嶋さん。

かつては瓶じゃなく、アクリル樹脂とか他の素材の容器も考えた時代もあったのだそうだが、やはり見た目が劣るということで、瓶詰ウニ全体の動きとしてこの形に落ち着いているのだとか。瓶が七角形なのもガラスの屈折などでよりキレイに美味しそうに見えるようにという配慮なのだそうです。
(こや)