先日、「30年間でハムスター飼育がずいぶん変わっていた」という記事を書いたが、その他の大きな変化として驚いたのが、「ハムスターパイプ(チューブ)」の存在である。

かつてはハムスターの遊具といえば、回し車くらいしかなかったと思うのだが、今はペットショップに多数の「ハムスター専用パイプ」が売られている。

飼育ケージのジョイント部分に接続できるT型、ロング・ショート、Uパイプ、センターキューブなど、自由に組み立てられるタイプから、「宇宙?」というような大きなアスレチックサークルみたいな商品まであるほど。
ペットショップの店員さんいわく、
「ハムちゃんも喜びますが、飼い主さんによってはパイプ接続に凝って、遊園地状態になっている方もいらっしゃいますよ」とのこと。

なぜパイプなのか。ハムスター専用パイプを多数販売する三晃商会に聞いた。
「ハムスターは本来、土にもぐって巣穴をつくって生活する生き物です。狭いところが好きだという習性もあり、パイプで遊べるように提案をしたんですよ」

実は三晃商会がハムスター専用パイプの販売を始めたのは20年ほど前のことで、当時もすでに日本にあったそうだ。
「弊社はもともとカブトムシなどの昆虫をやっていた会社なのですが、昆虫類は季節モノのため、年中商材をということから、ハムスターをやってみたら? という話になりました。そこで、もともとアメリカで遊んでいたパイプに目をつけ、ハムスターパイプを扱うようになったんです。でも、日本のハムスター界では昔は鳥かごや衣装ケースで飼っている人が多く、もぐって遊ぶような飼い方がなかなか受け入れられず、普及しなかったんですよ」
そこで、様々な研究をし、ハムスターが地中のトンネルにおいて「食糧貯蔵庫」「トイレ」「寝室」などいろいろ分けていることに着目。
ハムスターのそういった生態を展示会やカタログなどで啓蒙し、「見る側も楽しく、ハムスターもより自然なスタイル」を提案する商材としてPRしていくうち、また、種類が増えたことなどによって火がつき、自然に受け入れられていったのだという。
近年、増えている動物園の「行動展示」にも近い考え方なのではないだろうか。

「見る側も楽しく、ハムスターもより自然なスタイル」の言葉通り、実際にハムスターにチューブを与えてみると、異様な興奮状態でグルグル回ったり、アスレチック状態で楽しんでいた。

また、熱心にエサを運んだり、チップを運んで寝室にしたりと、着々と「別荘」づくりも進んでいく。
パイプの傾斜や組み立て方によって、難度が低すぎると盛り上がらないし、高すぎると怖がってしまうこともわかった(※我が家では低学年用アスレチックと高学年用アスレチックと呼んでいる)。

ネット上にもハムスターがパイプにもぐっている鼻血モノの可愛い動画・画像が多数存在している。
ただし、あまりに複雑に組み立てすぎると、「メンテナンスが大変」「複数入れると詰まってしまい、ハムスターが圧死してしまう危険性がある」などの問題があるので、注意は必要だ。

ハムスターも飼い主も楽しく幸せなパイプ。30年前より飼育がはるかに楽しくなりました。
(田幸和歌子)
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