「端」というのは、なぜか人を惹きつける。「日本最北端の地」とか「世界最南端の町」なんてフレーズは、それだけで旅心をかきたてられる人も多いはず。


そういった「最○端」では、到達の「証明書」を用意していることも多く、旅のよい記念にもなる。ところが最近驚いたのが、海外にあるにもかかわらず、日本人の証明書保有率がナンバーワン(2007年実績)の「端」があるということ。それが「ユーラシア大陸最西端」だ。

ちなみに最西端の国って、どこか浮かびます? ――答えはポルトガル。北緯38度41分、西経9度30分に位置する「ロカ岬」こそが、正真正銘のユーラシア大陸西の果てだ。日本から決して近いとはいえないのに、
「ロカ岬に到達したことを証明する“到達証明書”の発行枚数は、日本人が世界ナンバーワンです」
と地元観光局のアナさんは言う。

ロカ岬は入場料等がないので、正確な訪問者数はカウントできないが、観光局では次の2つの方法で統計をとっている。ひとつは「到達証明書の発行枚数」、もうひとつは「観光案内所を訪れた人の数」。よって実際の訪問者数よりはかなり少ないが、目安にはなる。

2007年の実績をきくと、証明書の発行は1位が「日本人」で17,355枚。2位が「その他の国の人々」(主な国以外の国別の統計を取っていない国の人)で8,666枚。それに3位に「イタリア人」の4,352枚が続く。


ポルトガルを何度も訪れているという日本人の添乗員いわく、
「日本からのツアーではロカ岬は必ず行きますよ。そして証明書もつけますね」
とのこと。それにしても、この数はスゴイ! 一年で発行された証明書の総数が48,517枚というから、3割以上を日本人が占めている。証明書には名前と日付、そして何番目の訪問者かを示すナンバーが入り、値段は5ユーロと10ユーロの2種類。10ユーロのものはフォルダーに入った豪華版だが、よく売れているのは5ユーロのものだそう。まあどちらも証明書であることに変わりはない。

また観光案内所への訪問者数を国別にみると、1位が「その他の国」で21,411人、それにスペインの19,754人、イタリア15,641人、ポルトガル14,974人と続き、日本は11,002人で堂々(?)5位にランクインしている。参考までに昨年の案内所の訪問者数は155,306人だった。

最西端と知らなければ単なる岬かもしれないが、目の前に広がる大西洋の大海原は圧巻。日々の悩みさえ、ちっぽけなものに思えてくるから不思議だ。月並みだが、自然の力はやっぱり偉大なのだ。

証明書にはあまり興味がないという人も、この景色は一度見る価値アリです。

(古屋江美子)

シントラ観光局HP※英語他サイト
ポルトガル政府観光局HP
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