原油高ということで、今月に入ってまたガソリンの値段が上がった。そんなこともあり、低燃費の軽自動車・コンパクトカーや原付が人気だとか。
ガソリンをたくさん使う大きなエンジンの車は嫌われる時代になったようだ。
そういえば、車やバイクを買うときには、やはりエンジンの大きさ(排気量の大きさ)で悩む。燃費重視の低排気量のものにするか、パワー重視の大排気量のものにするか。

筆者もバイク選びのときにエンジンの排気量で悩んだ。低燃費で税金も安い250ccか、パワー重視だけど燃費で不利な400ccにするか……。
また個人的な話で恐縮だが、古くなった家族共用の車の買い換えも検討していて、1.5Lモデルにするか、2.0Lモデルにするか今まさに悩んでいるところだ。


上記の過程でバイクや車のカタログを見ていて、気づいたことがある。「400cc」とか「1.5L」とよばれているのに、スペック(諸元)の欄には「総排気量399cm3」「総排気量1.490L」などと書かれている。
気になって他にも調べてみると、「50cc」原付はほとんどが「49cm3」だし、「2.4Lエンジン搭載」の車も実際には「2.393L」となんとも中途半端な数字に。

このなぞを解明すべく、四輪車も二輪車も製造している、スズキ株式会社にお話を伺った。

「ご存じの通り、軽自動車は660ccを超えてはならず、小型車におきましても、1000cc、1500cc、2000ccで税制面の違いがございます」
確かに。二輪も、原付(第1種)は50ccまでだし、バイクは250ccを超えたら車検が必要になる。


では、なぜ排気量が微妙な値かというと、「寸法公差などの関係で排気量が微妙に変化をしても、そのカテゴリを逸脱しないよう、少なく設計をしております」とのこと。
なるほど。誤差はつきもの。「逆に、ちょうどの排気量を設計して、常にカテゴリを越えないようにすることの方が困難」といわれれば納得。
つまり、「税制面でのカテゴリを越えないように基準の手前で設計をしている」ということなのだ。

また、「1300ccとして、排気量は1300ccを少々超えているもの」などの場合は、「他社との関係で同じ1300と言うカテゴリの中で少しでもパワーを出したいときなど、営業政策や開発ポリシーを踏まえて決められる場合も」とのこと。

開発の過程で様々な要因を考慮した結果、ベストな排気量が割り出させているといったところのようだ。

そもそも総排気量は、エンジンの気筒(シリンダー)内でピストンが上下する範囲の体積の値に、気筒の本数をかけて求められる。ただ、円筒形である気筒の断面は円なので、体積を求めるには円周率π(3.14159...)を掛け合わせる必要があり、“切りの良い数字”にはなりにくいものなのだ。

例えば、スズキの大型自動二輪車、「バンディット1250 ABS」の総排気量は「1254cm3」だ。
4気筒で気筒の内径(気筒内側の直径)79.0mm、行程(ピストンが端から端まで動く距離)64.0mmなので、総排気量=内径×内径×円周率π÷4×行程×気筒数=79mm×79mm×π÷4×64mm×4≒1254827mm3≒1254cm3(小数点以下切捨て)といった具合になる。

しかしながら、「1254」のような厳密な排気量でいわれるより、やっぱ「1250」「400cc」「1.5Lクラス」とかのほうが、その車・バイクのカテゴリが分かりやすくて良いですよね。

(もがみ)

スズキ(株)HP