コネタでも何かと話題のたまごかけごはん。今まではたまごや米、しょうゆの銘柄などにこだわるなど「質を上げる」方向性が主流だったが、『365日たまごかけごはんの本』は「たまごかけごはん+α」をテーマにした話題のレシピブック。
本書では「世界最速の料理」→「たまごかけごはん=T.K.G」とし、「手を洗い、煮ない、焼かない、チンしない、お願いしない、自分で作る、べし」をスローガンに、なんと400種類以上ものレシピを考案。

いくら好きでも、毎日ワンパターンなたまごかけごはんだとさすがに飽きてしまうもの。しかし、これだけのバラエティ感があれば1年中、毎日たまごかけごはんでもイイ! という気になろうというものですよね~。本書では初心者向け? の「きそたま」をはじめに、時間帯ごとの「あさたま」「ひるたま」「よるたま」、さらにリッチな食材を使った「セレたま」や、あっと驚くメニューを集めた「ぶったま」など、意表を突いたカテゴリー分けもおもしろい。

中でも衝撃的だったのが、各地の地元食材を使った「じもたま」に出てくる「お好み焼きT.K.G」(画像参照)!! これはもちろん、大阪のソウルフードであるお好み焼きをイメージしたもの。あたたかいごはんの上に山いも、卵、天かす、紅しょうが、削りがつおなどをのせ、ソースやマヨネーズでお好み焼き風の味付けをしたもの。
大阪人は「お好み焼き」をおかずに「ごはん」を食べるのが定番というから、「お好み丼」ともいうべきこのレシピはウケるかもしれませんね!?

なお、個人的に試してみたいなーと思ったのはやはり「きそたま」や「あさたま」に出てくる、ほんのわずかに目先を変えたもの。しょうゆの変わりに「めんつゆ」を使ってみるとか、「黒こしょう」や「納豆」を加えるなど、「たまごかけごはん=たまご+ごはん+しょうゆでなければならない!」と思い込んでいた自分の頭のカタさにハッと気づいた瞬間でした。

版元である株式会社読売連合広告社の担当者、森田さんにお話を伺ってみたところ、最初はたまごメーカーへ提案する販促ツールとして企画したのがはじまりらしい。しかし、以前から自社のオリジナルコンテンツの開発が懸案だったこともあり、書籍化を検討。
制作には1年半くらいかかったそうで、安全でおいしく、しかも簡単にできるレシピをめざしたそう。「味がいまひとつ」「見た目が悪すぎる」などの理由で、惜しくもボツになったレシピも数限りなくあったとか。


折しも輸入食品の安全性や、小麦粉やバターの高騰、日本の食料自給率の低さなどが問題になっているタイミングでもあり、発売後はものすごい反響があったらしい。「たまごを生で食べる国は、世界でも日本だけ。それだけ、日本のたまごは衛生管理が徹底しているということ。お米とたまごは、日本が輸入に頼らず国内で自給している数少ない食品ということもあると思います」と、森田さん。
まさに、最速にしてスローな日本人のソウルフード、それが「たまごかけごはん=T.K.G」!! この機会に、あなたも本書を参考に自分のお気に入り「T.K.G」を見つけてみてはいかがでしょう?
(野崎 泉)

『365日たまごかけごはんの本』紹介ページ