渋谷のシンボル的存在「ハチ公」。
2003年より「ハチ公バス」も運行され、すっかり渋谷の顔となっているが、昨年から新たな渋谷名物が登場していることをご存知だろうか。

その名も「ハチ公傘」。
「渋谷のビニ傘」と紹介されたりしているので、言葉の響きだけで、余計なことを想像した人、卑猥なものでは断じてないので、誤解のないように。

57センチのLサイズで、赤、青、黒の3色があり、1本500円で売られている。
ビニール傘を開くと、傘の下には、ハチ公のイラストと、「渋谷ハチ公」の文字が相合傘状態に書かれ、傘の中には「渋谷限定」の文字が。
ずいぶん素朴なつくりであるだけに、「なんだよ、ただのビニール傘じゃん」などという声もありそうだが、これはちゃんと渋谷区幡ヶ谷にある傘屋さん「仲屋商店」が作ったもの。
「若ダンナが考案したもの」だそうで、店頭には「渋谷限定 ハチ公傘 かってね」「渋谷限定のレア物です」などとある。


どんな人が購入していくのかと尋ねると、
「子どもさんをはじめ、幅広い人が買っていきますよ。お土産にする人もいますね」とのこと。
このお店以外では、「渋谷駅周辺くらいにしかない」そうなので、本当に「レア物」ではあるわけだ。

あまりの素朴さのために、最近までこの存在を知らなかったのだが、その一方で、子どもたちの間では「渋谷限定だから、ハチ公傘が欲しいんだ」などという会話がされていたりする。

また、「単なるビニール傘」と違うのは、やはり傘屋さんの傘だということ。
いま、「町の傘屋さん」は非常に少なくなっている状況にあるが、この仲屋商店で買った傘は、壊れても、持っていけば修理してもらえるというのが嬉しいところ。

ビニール傘のハチ公傘も、他の傘と同じく、壊れても持っていけば、修理してくれるのだそうだ。
自分などは、家を出るときに雨が降っていない限り、傘は持ち歩かず、急な雨ではコンビニで傘を買ってしまいがちなのだが、近隣の子どもたちが傘屋さんで傘を買い、壊れるたびに修理に持っていく姿に、傘との付き合い方を教えられたりしている。

ビニール傘でも、使い捨てじゃない「ハチ公傘」。
傘屋さんがつくった渋谷名物のハチ公傘、おひとついかがですか?
(田幸和歌子)