先日、中学生の水泳競技会を観に行ったある記者から、こんな話を聞いた。
「一般の中学生の大会などでも、水着についてるロゴの大きさや位置に、規定があるんだよね。
それを知らない子が、ルール違反になっちゃってさ」

水着がルール違反になると、もしや失格? と尋ねると、こんな答えが返ってきた。
「着替えがあれば、着替えろと言われるんだけど、たまたま着替えがなかったから、どうするのかと思ってみていたら、なんと水着についてるロゴをガムテープで隠したんだよ」
まるでスポンサーを背負っている選手のような大仰な措置に、ちょっとビックリ。

ビキニやきわどい水着で出場しようというならともかく、プロでもないのに、一般の中学生の水着のロゴの大きさや位置が、問題になるとは。
水泳をやっている人にとっては、常識なのかもしれないが、一般の人であれば、知らない人もいるのではないだろうか。
そもそもどういったきまりなの? いつからあるの? 日本水泳連盟事務局に聞いてみた。

「日本水泳連盟のHP内、『委員会情報』の『総務委員会』項に、『競技会において着用、又は携行することができる水泳用品、用具の商業ロゴマーク等についての取り扱い規定』というのがあり、そこで定められているんですよ」
これは2006年4月1日に加えられた規定のようで、こんな文言があった。

「使用される1枚の水着について、20平方センチメートル以内のメーカーの商標名は、ウエストより上の位置に1つ、下の位置に1つ許される。これらの商標名は、相互にすぐ近くに隣接して置いてはならない。ツーピースの水着に関しては、上部に1つのメーカーの商標名が、そして下部に1つが許される」
「20平方センチメートル」を基準とすると、大きさ的には一般の水着はあまり問題なさそうな気がするけど、位置関係などはちょっと微妙なところ。これについて、担当者からこんな説明があった。
「通常、連盟の傘下に入っている競泳用メーカーでは、水着が大会に使えるものかどうかを、タグなどに注意として記しているのが一般的です。ですから、水着がルール違反になるのは、フィットネス用などで、お尻に大きくロゴマークがあるものだとか、タグの注意を読んでいないとか、あるいは、無名のメーカーの水着を着用している場合くらいではないでしょうか」

では、規定を知らない出場者は、ほとんどいないということ?
「ありうるとは思いますが、少ないですね。
また、上の大会で失格にならないよう、教育的指導として注意を促すことはありますが、通常はロゴを隠すなど、具体的なことまでは、現場判断としてやらないことが多いと思いますよ」

ロゴをガムテープで隠されたというのは、あくまで「稀なケースのはず」というが、そもそもなぜそこまでシビアにきめているのだろうか。
「これは国際的ルールに基づいたものです。企業の宣伝などになるのを防ぐためだと思いますが、ロゴの大きさがどうきまっているかはともかく、水泳に限らず、どの競技にもあることだと思いますよ」

スポーツの大会に参加する人であれば、様々な規定を守るのは当たり前のこと。とはいえ、一般の人でも、案外厳しい規定があることを知らない人は多いのではないでしょうか。
(田幸和歌子)