入学シーズン真っ盛り。この季節にぴったりの、とってもかわいいケーキを見つけた。
それは、帝国ホテルの本館1階にあるショップ「ガルガンチュワ」の『ランドセル』をかたどったケーキだ。

さっそく帝国ホテルの広報部に問い合わせてみると、やはり、この「ランドセル」ケーキは、春の入学シーズンにあわせて、新一年生の背中に輝く新品のランドセルをイメージして作ったものだそう。

「ピンクのランドセルは、スポンジ生地の上になめらかなイチゴのムースをのせ、中央にはコクのあるバニラのババロアを入れました。黒いランドセルはチョコレートのスポンジ生地に、相性のよいバナナのムースをのせました。中央にはアクセントとして、やさしい甘さのキャラメルのババロアが入っています。両方ともシュクレ(クッキー生地)がしいてあり、ピンクにはチョコレートでつくった桜の花びらを、黒のランドセルには三角定規を飾っています」

実際に私も食べてみたのだが、どちらも本当に美味しい! ピンクは、イチゴのムースの甘酸っぱさがたまらないし、黒はチョコとバナナが相性ばっちり。下にしいてあるサクサクのクッキー生地と、ムースのバランスも絶妙だ。思わず、「幸せ~」という言葉がもれてしまうほど、複雑かつ、高級なお味! 

それにしても、やはり気になるのはランドセルの形。作るにあたって苦労した点を聞いてみると、こんな返答をいただいた。

「ババロアの型(通称かまぼこ型)で仕込むのですが、最後にセンターをカットする際に、正確に中央をカットしないと倒れてしまうんです。また、中のババロアもバランスよくセンターに入れないと、カットした際に出てきてしまいます。そういった点で苦労しました」

たしかに、きれいに立たせるのは難しそうだ。


ところで、黒のランドセルの飾りを三角定規にしたのはなぜだろうか。尋ねてみると、「新一年生が学校に通う際、必要なアイテムの定規や鉛筆など、主に文房具にしたいと考えました。三角定規に決まった後も、メモリをつけたり、中を三角にくりぬいたり……といろいろ試してみましたが、リアルになりすぎると逆に可愛らしさがなくなってしまうため、今のシンプルな形におちつきました」とのことだった。

1971年のオープン以来、「ガルガンチュワ」で、このような可愛らしい子供向けのケーキを販売することは珍しいという。しかし、入学を迎える子どもたちに楽しんでもらいたいというパティシエの思いから実現。子どもたちのことを考え、アルコールは使用していないというこだわりもある。

入学を迎える子どもたちへはもちろん、手みやげや、自分へのご褒美にもしたい「ランドセル」ケーキ。こんな愛らしいケーキで、贅沢な時間とともに、季節を感じるのもステキなものです。
(田辺 香)
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