秋葉原の氏神様、神田明神で2006年より毎年夏休みに開催され、今年で5回目を迎えるという『巫女さん入門』。「萌え~」なコスプレ巫女ではなく、れっきとした本物の神社の巫女さんの「歴史文化や礼儀や心得を学ぶ」ための講座である。


実は高校生くらいのとき、ひそかに巫女さんのアルバイトに憧れていた私。しかも、この講座は大和撫子にふさわしい礼儀作法その他が学べるそうでいいなぁと思っていたけれど、高校生~22歳くらいの未婚女性が対象ということでもはや三十路の私は参加したくてもできないのが残念なところ(泣)。

それにしても、具体的にはいったいどのようなことが行われているのか。神田明神に問い合わせて聞いてみたところ、朝イチの集合からまずは巫女衣装の着付けを学び、その後は正座にはじまる立ち居振る舞い、神道の基礎知識、日本の精神文化や「心のありよう」についてなど、「学校では教えてくれないこと」が中心らしい。
参加時は茶髪にピアス、ネイル、携帯電話使用は一切禁止とのことで、まさに現代のギャル文化に一石を投じる!? 講座といえるかもしれませんね。
もともと、この講座は秋葉原という町に根ざした神社である神田明神が、アキバにあふれる金髪やピアスの「なんちゃって巫女」を見てショックを受け、「本物の巫女文化を神社として伝えていきたい」という思いからはじまったのだそうだ。


とはいえ、参加者は巫女コスプレに憧れる女子高生だったりしないのでしょうか? と聞いてみたところ、「いいえ、たとえば東大や早慶の学生さんであるとか、しっかりしたモチベーションをお持ちのお嬢さんが来られます。今後、留学や就職などで外国の方とおつきあいしていくうえで、自国の文化をしっかり学んでおきたいとか、恥ずかしくない礼儀作法を身につけたい、といった方が多いですね」とのことでびっくり!(とはいえ、もちろん気軽に応募なさる方もいらっしゃるとのこと)
現場にはさぞ清らかで緊張感のある空気が流れているのだろうな~と想像しました。実際、講座が終わった後の皆さんの感想文には「目のさめるような体験でした」とか「日本人であることを誇りに思えるようになりました」といたって真面目な感想が綴られているらしい。

「秘書検定」などよりレアな体験であることは間違いないので、「巫女さん入門」の一日体験談はさまざまな自己アピールの場面でもちょっとした注目を集めることができるのかもしれませんね!?
ということで、予想以上に真剣そのものだった『巫女さん入門』。今年も6月より募集がはじまるが、すぐ定員が埋まる人気講座ということで、興味ある方はウェブサイトで募集開始の日程などぜひお見逃しなく。また、遠方の方には昨年、朝日新聞社より『巫女さん入門 初級編』という書籍も出ているのでそちらで勉強することも可能。
アラサーな私も、せめてこの本で巫女さん気分を味わってみたいと思います。
(野崎 泉)