置屋ってわかります? 芸者さんの居る場所……そう、今でいう芸能プロダクションとでもいいましょうか。今でも置屋は東京や京都などの花街に存在するのです。


その置屋で一般の人に芸者の芸を教えてくれる「遊芸学校」があるとか。
いったいどんなことを教えてくれるのか、大井海岸の置屋「まつ乃家」の二代目女将・栄太朗さんに聞いてみましたよ。

まず芸者のお仕事とは、「お座敷に上がり、お客様の宴席を盛り上げるいわばエンターテインメント。お酌、会話はもちろんのこと、見目麗しい踊りや三味線、唄、鳴り物をつかったお座敷遊びなどでお客様に楽しんでいただくこと」なのだそうです。

遊芸学校では、芸ごとや所作・作法を一通り身につけて、「大宴会」で芸者体験ができるまでに仕上られるそう。「さらに芸や所作を学んで、試験に合格すると本格的に芸者デビューもできるんです」と、栄太朗さん

しかし近年、料亭さんが減るにしたがって、芸者の上がるようなお座敷の宴席も減ってしまったんだとか。
「まつ乃家」のある品川の大井海岸は竹久夢二が愛した花街。最盛期には400人以上の芸者さんがいたという。明るいうちから三味線の音が聴こえ、大きな料亭が軒を連ねていたんだそうです。

「まつ乃家」の初代女将は大井海岸で生まれ育ち、花柳界の衰退を目の当たりにして、このままではいけない! と6年前に置屋「まつ乃家」を新しく立ち上げました。「変わっていかなければ 残せない文化もある」と花柳界のルールを打ち破り、新しくインターネットを取り入れた置屋を展開。「まつ乃家大宴会」と呼ばれる芸者遊びを学ぶ宴会を開催したり、「遊芸学校」を開いたりと花柳界では画期的な試みをはじめています。


ところで、「遊芸学校」の入学基準はあるんですか? と聞いたところ、「だいたい年齢は19~30歳ぐらいまで。特に踊りや三味線の経験はなくても大丈夫」と、にっこり。
今まで卒業生は30名以上いますが、卒業後1年の見習い期間を経て芸者になる人もいれば、 1回のお座敷体験だけを楽しみたい人など様々だそうです。
芸者だけで生計を建てられているのは約半数。残りの半数は、他の仕事をしながらお稽古を重ねてお座敷に出ているんだとか。なかなか厳しい現実ですね~。


ちなみに「まつ乃屋」では、芸者を呼ぶと高いのでは? 芸者を呼んでもどのように接したらいいの? といった不安を持った人のために毎月「まつ乃屋大宴会」を開いているそう。

芸者遊びをしたい人も、芸者になりたい人も、まずは「大宴会」を覗いてみては?
(カシハラ@姐御)