だいたいの会社には、定年がある。60歳だったり、65歳だったり。

そんな中、実はフリーターにも定年があるという。

もちろん、バイトは何歳になってもやっていい。そうじゃなく、国がフリーターを「15~34歳」と定義してるというのだ。つまり35歳になると、もはやフリーターとは呼べないらしい。
どうしてフリーターには定年があるんだろうか。この定義が記された労働経済白書を発行している、厚生労働省に話を伺った。


「フリーターという言葉は、もともと若者を指す言葉として生まれました。そのため、現在でも若者に限定してフリーターという言葉を使っています」

フリーターっていう言葉が登場したのは1987年。バイトをする若者が「“フリー”の響きがいいから」と好んで使ってた『フリーアルバイター』って言葉を、アルバイト情報誌フロム・エーが短縮。バイトをしている人の中で“明確な夢と意思を持って努力する若者”を『フリーター』と定義した。
ところが当時はバブル期。仕事がいっぱいあることで、同時に“単に定職に就きたくない若者”も増え、アルバイトで生計を立てている若者はすべてフリーターと呼ばれるようになった。

そういった流れから、増加するフリーターを国は雇用問題として考えるようになり、統計を出すうえで若者を「15~34歳」と定義したってわけだ。

ただ、今フリーターは若者だけの問題じゃない。この先、定年が変わることってあるんだろうか?
「確かに非正規雇用全体は拡大していて、雇用については若者の問題のみではないですが、今のところ変更は考えていません。これまでの統計データからの連続性もなくなってしまいますし。ただ、今後の状況次第ではあると思います」

じゃあ、バイトをしてる35歳以上の人は何て呼べばいい?
「派遣社員やパートなどとともに“非正規雇用者”とは呼びますが……特別な呼び方はないですね」
30~40代は『中高年フリーター』って呼ばれることもあるけど、国ではまだ特別な呼び方を決めてないようだ。

ちなみに若者の上限を29歳でも39歳でもなく、34歳までにした理由は、根拠になっている労働力調査のデータが、15~24歳、25~34歳、35~44歳……と、10歳刻みで取られているから。
24歳までじゃ若すぎるし、44歳は若者じゃないだろうし……ってことで、15~34歳に設定されたようだ。

それとニートは『若年無業者』と呼ばれ、フリーター同様15~34歳に限定されている。1999年、失業率が高い若者への対策を考えたイギリス政府が、学校へ行かず、仕事もせず、職業訓練も受けていない若者をNEET(Not in Education, Employment or Training)って呼んだのが始まり。ニートも若者の問題として考えられてきたから、定年があるってわけだ。

フリーターやニートにもあった定年。
ただ、企業の定年が時代に合わせて引き上げられてるように、フリーターやニートに該当する35歳以上の人がもっと増えれば、定義が変わるか、新しい呼び方が定義されるのかもしれません。

(イチカワ)

※厚生労働省によるフリーターの定義は以下の通り。以前は内閣府と別々の定義がされていましたが、現在は労働力調査(総務省)のデータをもとに、統一した定義づけがされています。
▼15~34 歳で、男性は卒業者、女性は卒業者で未婚の者。さらに次の1~3のどれかに当てはまる者。
1.雇用者のうち「パート・アルバイト」の者
2.完全失業者のうち探している仕事の形態が「パート・アルバイト」の者
3.非労働力人口のうち希望する仕事の形態が「パート・アルバイト」で家事も通学も就業内定もしていない「その他」の者