旅の楽しみはいろいろあるが、食事も大きな要素のひとつ。ご当地グルメを食べ歩くのは、国内外問わず楽しいものである。


世界にはグルメな国がたくさんあるが、イタリアもそのひとつだろう。パスタやピザは日本でも大人気の名物料理。当然、本場では種類も多く、何を食べようか悩むのも楽しいもの。

だが、知っておきたいことがある。実はローマには、曜日によって食べるべき伝統的な料理があるのだ。それを表すのが、「木曜日はニョッキ、金曜日は魚料理、土曜日はトリッパ」という言葉。
ちなみに、ニョッキとは小麦粉とジャガイモなどで作る団子状のパスタ、トリッパとは牛の胃袋を煮込んだ料理のこと。金曜の魚料理は、バッカラ(干し鱈)といわれることもある。

実はローマのカジュアルな食堂、トラットリアなどではこの伝統を守っているところも少なくないのだ。ふと、「ニョッキが食べたい」なんて思ってみても、木曜しか出していない店も珍しくない。よく見ればメニューにちゃんと書いてあったりもするが、イタリア語表記だと見逃しがち。まあ、間違ってオーダーしたところで、「ないよ」といわれるのがオチなので、特に気にしなくてもよいかもしれないが、知っておいて損はない。
もちろん、なかには毎日ニョッキが食べられる店もあるのでご安心を。ちなみにパスタをそばのようにズルズル音を立ててすするのはマナー違反だ。

もうひとつ意外かもしれないのが、ピザについて。日本では特に意識することはないかもしれないが、本来イタリア人にとってピザは夜の軽めの食事。そのため店によっては夜しか提供していないこともある。もちろん朝から晩まで開いているピザ専門店、いわゆるピッツェリアもたくさんあるのでこちらも心配には及ばないのだが。


とまあ、いくつか挙げてみたのだが、基本的に食事は楽しむのが一番というお国柄。とりあえず上記の事実も頭の片隅に入れておきつつ、本場の味をあますところなく堪能しよう。
(古屋江美子)