あなたは納豆をどのようにして食べるだろうか? 最も多いのは普通にご飯にかける、だろうし、納豆汁なんて人もいるだろう。中には居酒屋のように、玉子焼きに混ぜる、という方もいらっしゃるだろうか。

しかし、この方法は多くの方は思いつかなかっただろう――「ドーナツに練りこむ」。そんな「なっとうドーナツ」というユニークな商品が販売されていると聞き、早速それを出している納豆専門店「せんだい屋」にいってみた。

地下鉄田園都市線・池尻大橋駅から歩いて4分ほどのところにある店舗。まず外見からすごい。外には納豆の自動販売機が! また、非常にきれいな店内に一歩入ると、そこにも何種類もの納豆と納豆の加工品が。ちょっと驚きつつも、なっとうドーナツを探す……。
発見! 種類は5つ、「シュガープレーンドーナツ(120円)」「きなこドーナツ(120円)」「チョコドーナツ(130円)」「くるみドーナツ(130円)」「やさいドーナツ(130円)」というラインナップ。

筆者は「きなこドーナツ」をチョイス。店のテーブルに座って待つと、少し温めてもらった小ぶりのドーナツが運ばれてきた。薄いきつね色がなんともかわいらしい。さて、肝心の味は!?……おいしい!! 練りこまれた納豆から大豆の味がドーナツ生地の味とあいまって、とてもあっさりと食べられる。また、揚げるのではなく焼いて作られたベイクドドーナツのため、べたべたした感じはしないし、舌の上でさらりとほどける柔らかな触感がなんとも心地いい。
そして、納豆独特の臭みは一切なし。この味でこの値段は絶対、安い!
2009年4月末に販売を開始したばかりにもかかわらず、老若男女から支持されているという。発売開始以来、メディアからの取材も絶えず、口コミで人気が広まっているようだ。

ドーナツに関する詳しい説明によると、『納豆はもちろんせんだい屋の納豆を使用しています。くせのない大豆の味がしっかり味わえる納豆を練り込んでいるので、バターの使用量を控えることができ、ヘルシーに。卵は新鮮でしっかりした黄身とコクのある味が特徴の山梨県産「さくらたまご」を使用』、とのこと。
なるほど、どうりで普通のドーナツを食べたときのようなおもさがなかったわけだ。

さて、このなっとうドーナツについて、せんだい屋を運営する株式会社せんだい常務取締役の伊藤秀文さんに話を伺ってみた。
まず、納豆をドーナツと混ぜてみようというアイデアに関しては、「豆腐やおからのドーナツがあるのだから、納豆でもできるはずと確信して作りました。でも、完成するまでにはいろいろと試行錯誤がありましたけどね」とのこと。
また、なぜ市販のもののように独特の臭みがないのか、については、「大手の納豆工場は大規模な設備で機械的に作っていますが、せんだい屋の納豆は独自の製法により、大豆の味をしっかりと活かし、いい納豆のにおいを出せる商品をつくっています」という回答をいただいた。

店内にはイートインスペースがあり、納豆を使った定食メニューも味わえる。
実は筆者、なっとうドーナツを食す前に、「納豆ぶっかけそば」を注文していたのだが、これがまた絶品。そばの上にひきわり納豆がのっている一品で、コシのあるそばに大豆の味が絡む素晴らしい味だった。もしろん、他のメニューもとてもおいしそう。

来店するお客さんの年齢は、若い方から年配の方までさまざまだが、8割は女性なんだとか。渋谷や三軒茶屋も近い池尻大橋にあるこの店、おいしいランチとなっとうドーナツを目当てにいってみてはいかが? 数々の納豆料理が味わえるランチの時間帯は込み合いますが、それ以外の時間なら落ち着いた店内でゆっくりくつろげますよ。
(ツノダヒトシ/studio woofoo)