夏のカルピスシーズン真っ只中。薄めて飲むカルピスは、もはや夏の風物詩。

そんなカルピスのパッケージを見て、あれっ? と思うことがあった。それはカルピスと水の割合について書かれた「4~5倍を目安にうすめる」って記述。つまりカルピス1に対し、水3~4の割合で薄めるってことなんだけど……。

ん? 昔は5倍じゃなかったっけ? いつの間に4~5倍になってたんだろう? そんな疑問を解消すべく、カルピス株式会社に話を伺った。

「確かに2007年の商品リニューアルのとき、『5倍』から『4~5倍』へと表記を変えました。カルピスの魅力の1つは“自分好みの濃さで飲める”というところですが、『5倍希釈用』とハッキリ書いてしまうことで、その自在性がわかりにくくなっていたのではないかと考えたんですね。
そこで、お客様にお好みの濃さを見つけて頂くため、また飲用シーンや体調などによって濃さを変えられる飲料であることを認識して頂くため、表記を変更しました」

普通の飲み方以外にも、ロックで飲む人や、スポーツのとき8~10倍で割って飲む人など、飲み方はさまざま。そんな自由度が『4~5倍』っていう幅を持たせた表現に込められてたってわけだ。ちなみに飲むときは氷を入れることが多いと思うけど、4~5倍というのは、氷を除いた水の量。冷たい水で希釈することを想定しているからだという。

「もともと5倍だったのは、社内で試行錯誤した結果、濃くもなく薄くもない濃さが、5倍希釈だという結論に至ったからです。変更時は、当社で一般のお客様に集まって頂いて“好きな濃さに割ってみてください”と試して頂きました。
そのとき、5倍よりもちょっと濃い目に割る方が多かったことが、4~5倍に表記を変更する一つのきっかけになりました」

へぇ~、やっぱ表示より濃い目好きの人が多かったんだ。ずっと濃い目に作ってきた自分の味覚が、ズレてたわけじゃなくてちょっと安心。

カルピスのパッケージには、長い間「5倍」と表記されてきた。
通常以外の飲み方としても、1965年、長嶋茂雄氏出演のCMで紹介されていた「カルピスカクテル」が、5倍の薄め方だった。作り方は、まずカルピスをグラスに5分の1(30ml)入れ、次に炭酸水を入れてかき混ぜ、最後にウイスキー30mlをグラスのフチから静かに注ぎ、レモンを添えてできあがりというもの。
そうした「5倍」で歩んできた長い歴史を考えると、2007年に「4~5倍」へと変わったのは、大きな変化なのかもしれない。


最後に、どうしてそもそも原液があの濃さなのか聞いてみた。

「端的なお答えとしては“発明されたときの濃さが、その濃さだったから”という答えになると思います。カルピスは主な原料が生乳・独自の乳酸菌・砂糖と非常にシンプルな素材で、自然製法で作られています。それゆえ、原液の濃さを大きく変えられないんです」

好みによって幅広い飲み方ができるよう設定されていた、4~5倍というカルピスの希釈倍率。
みなさんは、どのくらいの濃さのカルピスがお好みですか?
(イチカワ)