リサイクルのため、ペットボトルは水洗いし、ラベル・キャップを外して捨てるのが当たり前となっているいま。「ラベル、はがしにくいっ!」と思った経験は大なり小なり、誰でもあるだろう。


製品そのものだけでなく、パッケージの開けにくさ・はがしにくさは、ちょっとしたストレスにつながるもの。そんななか、「ラベル」に次々に細かな改良が加えられている。

たとえば、ユニークなのは、「サントリーウーロン茶」(500ミリリットル)。これはラベルのミシン目の途中に、爪をひっかける穴のようなものがあって、誰でも容易にはがせるようになっているのだが、いったいいつから作られたものなのか。この穴をすべてのラベルに取り付けてくれたら良いのに……と思うけど。
サントリーお客様相談センターに聞いてみると、以下のような説明をしてくれた。


「ラベルに爪をひっかける『はがし口』は、サントリーウーロン茶500ミリリットルのペットボトルのみで採用されているものです。これは『クリスタルカット』という独特な形状のボトルで、溝のところからラベルが始まっているため、ラベルの上から爪が入れられず、『はがしにくい』というお声が電話で多数寄せられていました。そこで、2006年12月中旬より、爪をひっかける部分をつくりました」

「爪をひっかける口」は、ボトルが角角したカタチだからこそ、採用されたもの。同じウーロン茶でも、自販機用の四角い容器では別のパッケージになっているし、同社の炭酸飲料などの丸いペットボトルなどでは、確かに「爪をひっかける口」は導入できないわけである。
「この新ラベル開発には、ラベル強度のテストや工場での生産テストなど、導入までにかなりの時間をかけております。実は、ラベルのはがしにくさに関しては、お客様からお電話をいただくことが非常に多いので、できるだけご迷惑をおかけしないように、リニューアルのたびに様々な工夫をして改良しております」

他に、「伊右衛門」の場合、2004年5月に「ミシン目を1本から2本」に改良。

さらに近年、「ラベルのミシン目が見つけづらい」「マークなどつけて目立つようにしてほしい」という声に応え、「ラベルはここからはがせます」いう文章と矢印を追加し、はがし口をわかりやすくしているという(ウーロン茶などにもそれを示す文章・矢印あり)。

また、「サントリー天然水2Lペット」では、ミシン目ではがす従来のものから、のりづけ部分からはがすロールラベルに変更するなど、ラベルの改良はたびたび行っているようだ。
もちろんサントリーだけでなく、たとえば、ボルビックのラベルも、ミシン目でなく、のりづけ部分からはがすロールラベルが採用されているし、「はがしやすさ」に定評があるのは、伊藤園の製品。
同社では昨年、ミシン目の穴の間隔・穴の大きさを工夫し、「ちぎれにくい工夫」をしたことが報じられていた。

商品の味・価格・安全面に加えて、日々改良されていくペットボトルの「ラベル」の工夫。
細かなところだけど、様々な企業努力が垣間見えるポイントなのだった。

(田幸和歌子)