足し算・引き算の学習を過ぎ、掛け算・割り算などもそれなりにスピーディーにこなすようになった小3のわが子。
いよいよ日常生活で「戦力」になったと思い、先日、八百屋の店先で「トマト○円、キュウリ△円、ナス□円、しめじ☆円で、全部でいくら?」などと聞いたところ、まだまだ大人の計算力には及ばなかった。


そろばんの得意な子・フラッシュ暗算ができるような子は別として、紙に向かって問題を解くのとは違い、「頭の中に数字の羅列をストックし、計算すること」は、それなりに経験が必要なのだろうか。

「暗算は、日常生活(買い物)で鍛えてる母たちのほうが上だな」なんてことを考えていたところ、小3の算数の教科書に、なぜか唐突に「100+100」のような簡単な問題を発見し、ビックリした。
掛け算・割り算の後に、足し算の復習? そう思い、調べてみると、教科書的には「3ケタの足し算・引き算」は初めて出てくるらしい。
この時点で「なんであらためてこんな簡単な問題を?」と子ども自身だって思うことがありそうだけど……。
大きな数の扱いは、後回しにしてるということ? そもそもなぜ? 

ある公立小学校教諭は言う。
「1万までの数を4ケタの数として書いたり、読んだりする。
そして、その大小関係を比較したり、大きい順、小さい順に並べたりするということは2年生で学習します。ただし、足し算・引き算に関しては、2年生では2ケタまで。3年生では3ケタの足し算・引き算、そして簡単な4ケタの足し算・引き算まで学習します」

「新しい学習指導要領」の算数の学習内容を見ると、本来の学習の他に、★印で「簡単な~」という項目が多数見られる。各学年で若干重複する内容が出てくるようだが、なぜこのようになったかというと……、
「新しい学習指導要領では、スパイラルな学習ということで、前の学年のものを復習したり、次の学年のものを先取りしたりというかたちで、より一層定着を図ることを目標にしています」
つまり、反復するようにしているらしい。

文部科学省・学習指導要領担当者に聞くと、こんな説明があった。
「『1位数は1年で、2位数は2年で学ぶ』など、昔はいろんなケースがありましたが、新しい学習指導要領では1位数、2位数と順を追って“スパイラルな学習”をすることになりました。
たとえば、本来、3年生で本格的に3位数を学ぶところを、2年生で『簡単な3位数の加減』だけ先にやっておくことなどです。今回特に意識されているのは、“導入”として考え方を先にやっておいて、本チャンで学習して、その後の復習で定着させるということ。学び直しをし、スパイラルで重複する内容をつくることによって、時間をかけてしっかり定着させようというものです」

大人が見ると、また、子どもによっては「一気にやってしまえばラクなのに」と思うこともあるだろう、「スパイラル」な学習。
でも、その場限りでなく、きちんと学習を「定着」させようという、長いスパンで考えた新しい学習のあり方のようです。
(田幸和歌子)