歌手のGacktは「加湿器がわりに家に滝を流している」などと、まるでネタのような仰天話を以前テレビでしていたことがあったけれど、「乾燥」は歌手や声の仕事をする人にとってはもちろんのこと、一般人にとっても悩みの種である。
なかでも、「ホテルは乾燥する」というのはよく聞く話で、乾燥対策として「浴室の戸を開け放して寝る」とか「加湿器を何台も置く」といった話をする人も多いが、そもそもなぜホテルは乾燥しやすいのか。
2007年12月より、冬期には全室に加湿器を設置している「ホテルゲートイン鹿児島」にその理由などを聞いた。
「ホテルは実際に乾燥しやすいですが、その大きな理由としてはまず機密性が高いことが挙げられます。また、冬場は特に、外の空気自体が乾燥しやすく、外の空気を室内に取り入れると、冷たい空気が入ってきますよね。ご存じの通り、水は温度によって溶け込む量が異なり、温度が高いといっぱい溶け、低いときには溶けにくくなります。ところが、暖房をすると、温度だけが上がって湿度だけが下がるため、どうしても乾燥してしまうんですよ」(支配人)
外から入った冷たい空気が、仮に冷たいままであれば、湿度もまだマシなのだが、客室を冷たくしておくままにはいかない。とはいえ、ホテルの場合、一般家庭などと違い、火を使うことが危険だという理由から、安全面を考慮して、暖房が完全に電気になってしまうのだという。
「たとえば、部屋のなかで石油ストーブや石油ファンヒーターなどをどんどん使うと、水もどんどん作られますが、エアコンの場合、単純に温度だけが上がってしまい、水蒸気が出ません。非常に機密性の高い建物でエアコンをずっと使い続けると、必然的に乾燥してしまうんですよ」
高級ホテルの場合、ダクトの中に加湿機能を備えたものもあるそうだが、ビジネスホテルや一般的なホテルの場合、避けがたい「乾燥」の問題。
ホテルゲートイン鹿児島が加湿器を全室したきっかけはというと……。
「冬場に自分がのどを痛めてしまい、お客様にも同じことが起こるのでは? と思ったんです。たった一晩限りのことであっても、お客様にはご家族などいらっしゃる場合も多く、うつしてしまうと、数えきれない影響、迷惑をかけてしまいますから」
梅雨時、夏場を除き、秋~GWぐらいまで常に設置しているという加湿器。
その評判は?
「良いですね。やはりホテルの乾燥に対して同じような悩みを持っている方は多いようです。ほとんどの方が利用されているようですよ」
これから年末年始にかけて、ホテルを利用する人も増える時季。乾燥対策にはご注意を。
(田幸和歌子)