「テレビは3メートル離れて見ましょう」子供の頃、よくこんなことを言われた。
6畳のリビングで3メートルはとてもムリだったけど、目が悪くならないように、とにかく離れて見なさい、と言われたものだ。
あれからン十年。家庭のテレビは格段に大きくなった。もしかしたら、もっと離れて見なくちゃならないのか。

「ブラウン管なら画面の高さの5~6倍、(ハイビジョン対応の)液晶やプラズマなら3倍が適正です」調べてゆくと、ベスト電器のウェブサイトにこんな情報を見つけた。計算すると、26型通常ブラウン管なら2~2.4メートル、32型ワイド液晶なら1.2メートルが適正な距離ということに。想像していたより、ずっと近くていいみたいだが……本当にこんなに近くていいのか。


ベスト電器に聞いてみた。
「ブラウン管は画像が粗くて見づらく、(近づくと)目も疲れます。液晶も一時期、サッカーなど動きの早い映像では(動きがにぶくて見にくいので)近づき過ぎない方がいいと言われました。しかし、2年ほど前から『倍速』などの技術が普及し、気にしなくてもよくなったのです」

しかし、この「画面の高さの3倍」という基準、あくまでも「映像を楽しむため」のもの。ジョージ・ルーカス率いる米国の映像関連会社が推奨する計算式を簡略化した基準で、必ずしも目によい基準ではない。

で、やっぱり、3メートル離れた方がいいのか。
視力回復トレーニングの眼育総研に聞いた。
「離れた方が目によいというのは、視力がよい方の場合です。ある程度近視が進んで、(テレビを見るのに)目を細めたりするようになると、かえって目に負担がかかります」
目を細めないと見えないようだったら、目をリラックスさせたままで見られる距離まで、近づいた方がよいのだという。画面の大きさにもよるが、ある程度近視が進んでいる場合には、3メートルでは遠すぎるようだ。

他に、テレビを見る際に、近年注意すべき点を聞いてみた。
「最近、テロップの出る番組が多いのですが、それに執着しすぎないことです。
音声で同じことを言っているのですから、五感(聴覚)を使って見ましょう」
テレビの明るさについても注意が必要だという。
「販売しているテレビは、店頭で明るく見せるために、明るさの標準設定が高すぎることが多いのです。青い光は目に老化を引き起こします。それを下げるためにも、照度を下げた方がよいでしょう」

もうひとつ付け加えると、目線より下にテレビを置くと、目が乾かなくてよいとか。
オリンピック真っただ中の今、テレビを見る機会が多くなっているかもしれない。距離に限らず、テレビを見る環境を一度、見直してみてもよさそうだ。

(R&S)