病院で採血をする際など、「血管を見つけにくい」と言われたことはありますか。

実は自分は子どもの頃から「血管を見つけにくい」と言われがちで、採血のときには腕をしばって、手を開いたり閉じたり何度もさせられたり、点滴のときなどは血管が最も見つけやすい手の甲から……ということが、ときどきある。

別に太っているわけではないのだが、これって、なぜなのか。

そういえば、検診時の採血で失敗され、「二度刺された」などという人の話もときどき聞くけれど……。
「採血しづらい人」「血管を見つけにくい人」って、どういう人なのか。皮膚が厚いとか、血管が細いとか? そもそも採血の場所って、どうやって決まっているのか。『血管力』(成隆出版)著者で、医療法人社団池谷医院の池谷敏郎院長に聞いた。

「採血は、通常は肘の曲がるほうの内側『肘正中皮(ちゅうせいちゅうひ)静脈』でとります。
この静脈は比較的太くて皮膚の表面近くを走っていることが多いからです」
最も血をとりやすい人は、太い静脈が皮膚の下にすけて見える人だそうだ。
「やっぱり太っている人のほうが、静脈が皮下脂肪に埋もれて見えにくいので、とりにくいということはありますね。静脈がよく見える部位を見つけられない場合、次に指で触って静脈を確認します。表面上、静脈が見えないときでも触ってみると太い静脈を確認できる場合もよくあるんですよ」

また、前述のように、一般的には肘正中皮静脈がいちばん目立ち、本来は最も採血しやすい場所なのだが、その静脈は細くて、あるいは深い場所を走っていて、別の場所が発達して太く目立つという人もいるのだそうだ。

その他に、針を刺しにくい人は、「血管が老化している人」との指摘も。
「老人に多いのですが、血管が見えていても、硬くなっていると、楊枝でスパゲッティを刺すような具合に、血管が逃げてしまい、刺しにくい人もいます。
また、静脈がしなやかさを失っているため、うまく血管に針が刺さってもそこから出血してしまうこともあるんです」

「採血しにくい人」「普通の人とは違う場所の静脈が発達している人」は、1つの個性だそうだが、それでもやっぱり不便なもの。
採血しやすくするための方法は何かないのだろうか。
「手の冷えた状態や脱水状態では、静脈が細くなり、採血しにくくなるので、腕から手をあたためたり、水分補給をこまめにしておくと良いでしょう」

ちなみに、採血する側の心理というのもあるという。
「たとえば、刺されるときに『私、とりにくいんです』とか『失敗しないでくれ』と言われると、採血する者にストレスがかかり、緊張してしまいます。また、針の先をあまりにじっと見ていたり、怖がったり、リアクションを大きくするのも、プレッシャーをかけることになります。逆に『いつもこの場所からとっている』などを教えてあげると太い静脈を見つけてもらいやすくなり、採血がスムーズに行えるでしょう」

採血しづらい人は、十分な水分をとり、温かい服装で、リラックスしてのぞんでみると良いかもしれません。

(田幸和歌子)