
「斧投げバー」というものを聞いたことがあるだろうか。名前の通り斧を投げることができるバーだ。
これだけ聞くと凶暴な香りが漂うが、この「斧投げバー」という業態が、最近各国でちらほらとオープン。しかも人気を得ているという。先日ニューヨークのブルックリン地区にも、斧投げバー「キック・アックス・スローイング」が開店したので、実際に斧投げを体験してみた。

初心者はまず斧投げのレッスンを受けてから
斧投げバーの仕組みは、ダーツバーに近い。ゲームとしては交代で斧を投げて得点を競う。筆者が訪れたお店「キック・アックス・スローイング」では8人で1つの斧投げレーンを使う。8人以上のグループで行けば1レーンを貸し切ることができるし、少人数で行った場合は、他の少人数のお客さんと同じグループになる。
最初に注意書き、リスクに関する説明を読み、同意のサインをしたら斧投げのレーンへと案内される。斧が落下した時のためにサンダル等ではなく足先がカバーされている靴を履いている必要があるが、それ以外は特段の制約はなく、ダーツバーのようなカジュアルさだ。
斧投げ未経験者も心配は無用。同店ではアクスパート(Axe-pert)が各レーンにいて、斧投げのルール、投げるフォームや注意点などを詳しく説明してくれる。ちなみに「Axe-pert」という言葉は「エキスパート(expert)」をもじったものだろう。

筆者のレーンのアクスパートは、見るからに斧投げが上手そう。実際に美しいフォームで斧を的にクリーンヒットさせ続けていた。さすがアクスパート! 森林ではなく大都会ニューヨークのバーにいるのが惜しい逸材である。
体を動かしスッキリ、競技としてエンターテインメント性も高し!
斧が投げられるようになったらいざ実戦だ。それぞれのレーンは75分間使用できるようになっている。アクスパートが審判となり、さまざまなルールでの斧投げゲームを時間の限りプレーさせてもらえる。

8人グループの場合、2~4グループでの対抗戦として3ゲーム程度はプレーできる格好だ。斧を的に刺さらせるためには怪力である必要はないが、体のバネを使ってある程度シャープな投球(投斧)をする必要がある。筆者のグループには巨漢から華奢な女の子までいろいろなメンバーがいたが、体格と的中率にはそこまでの相関がなく、ダーツ同様、ハンディキャップなしで誰でも楽しめる。激しくはないが、ほどほどに体を動かすので爽快感も得られる。
バーですから、もちろんアルコールも販売
斧投げバーが人気である(大きな!)理由の一つが、バーであること。
筆者(どちらかというとアルコールには強い体質)もビールを2缶ほど飲みながらやったが、危険は感じなかった。ダーツバーと同じで交代で斧を投げるため、手元に飲み物があった方が、投げている方も応援する方も、盛り上がるといった具合だ。

バーではあるが、大人の引率があれば子供も9歳から参加可能。家族で行っても楽しめるような健全な雰囲気の場所である。周りの参加者に話を聞くと、「今回だけではなくまた来たい」と口をそろえていた。みな日常生活でいろいろなことがあるのか、斧を的に投げて的に刺すという行為が本当にスッキリするという。
キック・アックス・スローイングのマネジャーによると、この斧投げバーの人気を受け、同店を経営する会社は近日中にワシントンとフィラディルフィアにも出店予定とのこと。斧投げバーが日常のエンターテインメント施設に加わり、凝った客がマイ斧を持つ日もそう遠くないかもしれない。
(迷探偵ハナン)