“眠るときに心地よい体勢”と言えば? 実は、結構なバリエーションがある。枕を立てて高くしてみたり、布団を股に挟んでみたり……。

中でも私のフェイバリットは、布団を頭から被っている状態。アレが、何とも言えない気持ち良さ。しっくりくるのだ。

そんな“布団モグり族”に向けて、新寝具が開発されたそうだ。愛知県の「ヒロエンジニアリング」が手がける、その名も『モグリエ』。

画像を見ていただきたい。
別に、ベッド上にそびえ立つ要塞ではない。これが噂の『モグリエ』。
使い方はまず、このU字形の隙間に頭を入れる。そして、その上から布団を被る。すると、モグリエが布団を持ちあげることになり、顔に密着させない。布団の中に小さな部屋を作ることになり、顔との距離(約15センチ)を設けてくれる。
顔の前や周囲に、快適な空気空間が生まれるのだ。

それにしても、大胆な形だと思う。こんな斬新な新寝具が生まれた経緯を、同社に伺ってみた。
「冬場に暖房をして加湿器を入れて寝ておられる方がいますが、もともとはその無駄なエネルギーを削減できないかと思い、いっそのこと布団の中にもぐって寝ればあたたかく眠れるのでないかと開発しました」

また、切実な生の声もキッカケのひとつに。
「実は社長の奥様がもぐって寝るそうで、それを解決しようとしたのが始まりなんです。『もぐって寝たいけども、ホントは顔に布団が当たってほしくない』と言ったことが、ヒントになりました」

実はこの意見は、世間の多数派でもあった。
同社では2009年にヒアリング調査を行っており、そこでは「寒い時期、どこまで布団に入りますか?」という質問を実施。結果、「鼻より上~頭まで全部」と回答した人が、全体の80%を占めていた。
そして、もぐってない人に理由をヒアリングしたところ、「顔に布団がかかるのがイヤ」という意見が1位を、「息苦しく感じる」が2位を獲得。
これを解消するのが、現状の“U字形”なのだ。

そして、この寝具は心地よさだけではない。
一般に加湿器などを使って目標とされる湿度は50~60%とされているのだが、布団の中の平均湿度も約60%。
この空間で寝ていたら、「朝の肌水分量」にも効果として表れること必至。同社では、『モグリエ』を使用して寝た人を対象に、“目覚めてスグの肌水分量”調査実験を実施している。すると、通常睡眠時より水分量は5~8%向上していた。
実際、ユーザーからの反響には「肌の調子が良い」なんて声が寄せられているそうだ。

また「赤ちゃんに戻ったような感覚」という、想定外の反響も寄せられている。
この意見には、同社も仮説を立ててみた。
それは、「お母さんのお腹の中にいた頃って、みんな頭を出して寝ていないよね」というもの。胎児の時の記憶を、この寝具が掘り下げたのだろうか? 

この『モグリエ』は2009年11月より発売されており、価格は7,800円(税込み)。同社ウェブサイトで購入が可能。

同社では『モグリエ』を使ようになった調査員に、改めて調査目的で「3日間もぐらないで!」とお願いしている。しかし、それが成し遂げられたのは21人中2人。無意識にもぐってしまう人が続出したのだ。
どうにも、体が“もぐる気持ち良さ”を求めていたのだろうか?
これぞ、ヤミツキ。
(寺西ジャジューカ)