ほんのりかすかに赤いというレベルではない。他府県の人間なら思わず立ち止まってしまうほど、明確に赤い。
このコンニャク、そのものずばり"赤コンニャク"という名前。
コンニャクに使われている素材は、ごく普通のコンニャク芋。作る過程で三二酸化鉄を加え、着色して作ったのがこの食品なのだとか。
何もそこまでして赤く染めなくても……と思うが、このコンニャクの生まれは織田信長ではないかといわれているそうだ。とにかく派手好きな信長が、コンニャクまで赤く染めさせた言い伝えが残るとか。
それだけではない。奇抜なアイディアを持つという、近江商人が考え出したのでは……などなどその起源については諸説紛紛。実際のところ、本当の起源ははっきりとわかっていないそう。
しかし誰が作ったかはわからなくても、近江八幡のスーパーへ行けばコンニャクコーナーには赤の大群。
色はぎょっとするが、地元では冠婚葬祭から普段の食事、お弁当にまで大活躍。
一般的な黒のコンニャクも一緒に販売されているため、コンニャクコーナーはカオスな風景だ。
そんな見た目の赤コンニャクだが、切っても包丁、まな板は赤くならず、煮込んでも鍋に色は移らない。
さらに食べてみると、味は普通の物と同じ。もちろん辛くもない。赤いから辛い、はこのコンニャクに関しては当てはまらないようだ。
しかし普通のものよりも少しだけ食感が強め。しっかりぷりん、とした食感が好きな人にとっては嬉しいコンニャクといえそう。
おでんや繊細な味の煮物まで、使いどころは普通のコンニャクと同じく幅広い。さらにその独特な色合いを利用して、サラダや酢の物の彩りに使う人もいるそうだ。
食物繊維などが豊富な健康食品コンニャクだが、赤コンニャクはさらに鉄分がプラスされて貧血にもいいかも? と、お店の人はいう。
栄養はともかく、その赤い色は夏ばての時にも食欲をそそりそう。
(のなかなおみ)