ジーンズ。元々は、労働者の作業服として開発された衣服。
両者が、ある意味“融合”された。デニムブランド「京都デニム」が、7月下旬より『鎧をモチーフにした、京都デニムメンズジーンズ』なるデニムパンツを発売する。
画像を見ていただきたいのだが、柄が鎧。パッと目に付くのは、「襷菊菱(たすききくびし)」の紋様である。両脚の脇には7枚のデニム生地を重ね、腰回りを守る「草摺(くさずり)」をイメージさせてみせた。
“戦国時代”を現代社会のファッションライフに落とし込んだ、見事な着地点ではないか。しかし、どうしてこんなことを? ぶっちゃけ、変わったコンセプトだと思うのだが。
「毎日、着れる“鎧”がほしかったんです」(担当者)
単純明快! 元々、同社は着物など“日本の衣装”を作っている会社で、4~5年前から鎧をモチーフにしたジーンズを作りたいと思っていた。
ただ、その際の注意点がひとつ。それは、「コスプレのようにはしない。
だからこそ、持ち前の技術を駆使した“履き心地”と、細部のディテールにこだわった“カッコよさ”に重きを置いている。
何しろ、使われている生地は別注。岡山から生地を取り寄せ、旗屋に依頼して織り、染める。「染め」の技術も、着物で言えば家紋を入れる方法を採用。ブリーチだと生地を傷めてしまうため、わざわざ手作業で施している。
そうして出来上がった完成品。同社が誇るのは、特に“履き心地”についてである。
「従来のジーンズのイメージを覆す履きやすさだと思います。鎧に似つかわしくないかもしれません(笑)。ゴワっとせず、喩えるとすればシルクや綿に近いです。パジャマとして、履いたまま寝れるくらいです」(担当者)
購入された方からの反響は、やはり“履き心地”に関するものに集中しているという。
「鎧のコンセプトに魅かれて来る方が多いのですが、試着をしてみると“履き心地”に一番ビックリされるようです」(担当者)
実は、もう1つの特筆すべきサービスが。「京都デニム」では、履いて色落ちしたジーンズを持っていくと、丸々1本染め直してくれるそうなのだ。2年後でも、3年後でも、何年後でも受け付けてくれる。
代わりと言ってはなんだが、今回は70本の限定生産。価格は1本49,350円(税込み)。
このブランドは、“今の時代の着物”をコンセプトとしたジーンズを目指しているという。だからこそ、京都の染色技術がジーンズにも活かされている。
同社のウェブサイトでも購入は可能だが、「是非、京都のお店にお越しいただいて履いてみて、京都の空気を味わいながらご検討していただきたいです」(担当者)。
京都に足を運んで、京都の空気を吸って、京都のジーンズを履いて、はんなりした気持ちで毎日を過ごしてみようか。なんたって、“今の時代の着物”である。
(寺西ジャジューカ)