「セミはあまり移動しないのか」記事に引き続き、セミに関する疑問。
それは、「セミは他の種類のセミと交尾しないのか」というものだ。
「土の中に7年間暮らし、地上で1週間しか生きられない」などとよく言われることから考えると、たった1週間にそもそも別の種類のセミと出合えるチャンスがどれだけあるのかよくわからない。
だが、同じ公園内で2~3種類のセミが同時に鳴いていたりするのだから、「別の種類同士で交わったりしないのか」「別の種類同士の間で新種のセミが生まれたりしないのか」「セミにとって、別の種類のセミはどういう風に見えているのか」という疑問も生じてくる。
前回の記事でもご回答いただいた、大阪市立自然史博物館の学芸員・初宿成彦さんに聞いた。
「別の種類のセミ同士も交尾しますよ。アブラゼミとミンミンゼミがよく交尾してます」
!? そういうものなのですか! では、その違った種類のセミ同士の子どもは……?
「違った種類のセミは、イヌとネコの違いまではいかなくとも、まったく別ですからね。近い種類同士ならありうるかもしれませんが、まず卵が育ちません。受精すらできないのではないかと思いますよ」
それでも別の種類同士で交尾する理由って?
「それはもう、なんかのはずみでしちゃうんじゃないでしょうか。オス同士ですることもありますからね」
なるほど……。
ところで、「7年間土の中で暮らし、地上で1週間」なんて言われるセミの一生も、これだけ暑いと、間違って早く出てきてしまったり、サイクルが変わったりしないのでしょうか。
「そもそもクマゼミでも7年間土の中にいるものもいれば、8年のものも、6年のものもいます。『土の中に7年間で、地上で1週間』というのも実際に調べた結果ではなく、そういわれるだけ、思い込んでいるだけのところがあると思いますよ」
ただし、「暑い年の翌年にはセミが増える可能性も考えられている」のだそうだ。
それはやっぱり暑さで間違って出てきてしまうから?
「暑さで早く育っちゃったという説もありますし、暑いと木の状態が悪くなって、木が枯れそうでヤバいと本能として感じて出てくるという説もあります。
昔から言われてきた「セミの一生」は、実は確かなデータによるものではなく、種類によっても、個体によっても違うよう。
また、「地上で1週間だけのはかない命」とか「出てきてすぐに死んでしまうなんて、可哀想」などと人間が勝手に思っても、当のセミにとっては、土の中こそがパラダイス……という可能性もあるわけです。
(田幸和歌子)
それは、「セミは他の種類のセミと交尾しないのか」というものだ。
「土の中に7年間暮らし、地上で1週間しか生きられない」などとよく言われることから考えると、たった1週間にそもそも別の種類のセミと出合えるチャンスがどれだけあるのかよくわからない。
だが、同じ公園内で2~3種類のセミが同時に鳴いていたりするのだから、「別の種類同士で交わったりしないのか」「別の種類同士の間で新種のセミが生まれたりしないのか」「セミにとって、別の種類のセミはどういう風に見えているのか」という疑問も生じてくる。
前回の記事でもご回答いただいた、大阪市立自然史博物館の学芸員・初宿成彦さんに聞いた。
「別の種類のセミ同士も交尾しますよ。アブラゼミとミンミンゼミがよく交尾してます」
!? そういうものなのですか! では、その違った種類のセミ同士の子どもは……?
「違った種類のセミは、イヌとネコの違いまではいかなくとも、まったく別ですからね。近い種類同士ならありうるかもしれませんが、まず卵が育ちません。受精すらできないのではないかと思いますよ」
それでも別の種類同士で交尾する理由って?
「それはもう、なんかのはずみでしちゃうんじゃないでしょうか。オス同士ですることもありますからね」
なるほど……。
ところで、「7年間土の中で暮らし、地上で1週間」なんて言われるセミの一生も、これだけ暑いと、間違って早く出てきてしまったり、サイクルが変わったりしないのでしょうか。
「そもそもクマゼミでも7年間土の中にいるものもいれば、8年のものも、6年のものもいます。『土の中に7年間で、地上で1週間』というのも実際に調べた結果ではなく、そういわれるだけ、思い込んでいるだけのところがあると思いますよ」
ただし、「暑い年の翌年にはセミが増える可能性も考えられている」のだそうだ。
それはやっぱり暑さで間違って出てきてしまうから?
「暑さで早く育っちゃったという説もありますし、暑いと木の状態が悪くなって、木が枯れそうでヤバいと本能として感じて出てくるという説もあります。
また、関係なく周期があるだけという説など諸説あり、まだ調べられていないんですよ」
昔から言われてきた「セミの一生」は、実は確かなデータによるものではなく、種類によっても、個体によっても違うよう。
また、「地上で1週間だけのはかない命」とか「出てきてすぐに死んでしまうなんて、可哀想」などと人間が勝手に思っても、当のセミにとっては、土の中こそがパラダイス……という可能性もあるわけです。
(田幸和歌子)
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