新米の季節。

ほかほかツヤツヤの美味しいご飯は何よりのごちそうだけど、以前からちょっと気になっていたのは、炊飯器の「倍速」や「早炊き」機能だ。


早く炊けるのは非常に便利だけど、いったいどんなしくみによるもので、どんな違いがあるのだろうか。
やっぱり味には違いが出るもの? また、電気代や炊飯器自体の寿命にも差があったりする?
社団法人日本電機工業会(JEMA)に聞いた。

「炊飯器でご飯を炊くと、一般的に50分くらいかかりますよね。この間、何をしているかというと、4段階の工程を行っているんですよ」(JEMA担当者)

「4段階」は、以下のように分かれているそうだ。

1・「予熱」(前炊き)……水から温度を約50℃まで上げる(機種によって温度は異なる)。米の中にじっくりと水を吸収させることで、「炊きムラ」を防ぐなどの効果があるらしい。

2・「沸騰」
3・「沸騰維持」
4・「蒸らし」

それぞれの段階ごとの時間・温度制御はメーカー・機種によって異なるそうだが、それでは「早炊き」の場合は、どう違うのか。
「早炊きの場合は、本来の美味しく炊ける状態よりも、食味を少し落として、余熱や蒸らし時間を少し削っているようです。どの段階をどのくらい削っているかは機種によって異なりますが、あくまで早く炊けること・時間短縮を第一の目的としているので、やはり食味は本来の炊き方が最も良くなりますね」

では、電気代や炊飯器の耐久性への影響は?
「消費電力量は、時間が短ければその分減るかと思いますが、データが特になく、また、温度制御との兼ね合いもあるのではっきりとは言えません。また、炊飯器は、100V・1000W程度が一般的で、早炊きだからといって、極端に大きな電力をかけているわけではないので、耐久性にはほとんど影響ないと思われます」

ちなみに、「早炊き」だからといって、「早めに食べないと水分が抜けやすい」とか、「水分を多めにしたほうが良い」などの注意点は特にないらしい。
「『早炊きでも十分美味しいから、早いほうが良い』という方もいますし、『食味を重視したい』という方もいます。それぞれのお好みで選択していただくのが良いと思います」

そういえば、洗米・浸漬・蒸らし不要の「早炊き加工米」なんてものも出ているけれど、早炊き加工米を「早炊き」モードで炊いたら、どんなことになるのだろうか。


時間を重視したい人と、あくまで食味を重視したい人と――結局、食味と時間との比較になるわけだけど、そのときに応じて「選択できる」機能が備わっているというのは、やっぱりスゴイことだと思います。
(田幸和歌子)