そういえば、お祝いといえば、「胡蝶蘭」が定番だけど、これはなぜなのだろう。
胡蝶蘭の栽培歴10年以上で、「全国花き品評会洋らん部門・農林水産大臣賞」受賞経験もある「Flower Shop はなやか」の株式会社リーフ代表・尾崎幹憲さんに聞いた。
「すごく難しい問題ですね。たぶんお祝い→お花→胡蝶蘭という流れで、『お祝いといえば胡蝶蘭』になったのだと思います。その理由として考えられるのは、胡蝶蘭にはニオイがないため、どこにでも合うことと、花に品格があること。そして、1番は長持ちをするところではないでしょうか?」
どのくらい長持ちするかというと……。
「たとえば、切花(花かごなど)では、開店やお祝いのその日はとても華やかですが、数日たってしまうと枯れてしまいます。しかし、胡蝶蘭は、1カ月以上はゆうに花が咲き続け、環境さえ合えば3~5カ月も咲き続けることがあるんです」
胡蝶蘭の中でも、特に「白」が用いられることが多いのは、なぜだろうか。
「白い花はどんなシチュエーションにもぴったり合い、周りの雰囲気を壊さず、なおかつ花としての存在感があるからではないでしょうか。あとは、白の品種改良が一番進んでいるので、同じ花の数でも他の色と比べると大大きく、花のもちも一番良いところがあるかと思います」
ただし、最近ではピンクや白赤リップなど、白以外の色も増えてきて、非常に人気が出てきているらしい。
「今後は白以外の胡蝶蘭や一鉢の中でのいろいろな色のMIX寄せなどが、人気が出てくると思いますよ」
胡蝶蘭の寄せ植えが本格的に市場に投入され出されたのは、まだ25~30年ほど前から。しかも、品質的に安定し始めたのはここ15年ぐらいだそうで、「お祝い=胡蝶蘭」と認知されるようになったのも、ここ10年ぐらいでは? という話だった。
ところで、同じお祝いであっても、「花輪」「花かご」などとはどのように使い分けされているのだろうか。
「花輪、花かごは基本的に室外に短期的に飾るのに対して、胡蝶蘭は室内に長期的に飾ることが多いようです。今まで花輪、花かごを使われていた方が、胡蝶蘭に変わってきているのだと思います。そのため、今後は花輪、花かごの需要が少しずつ減り、胡蝶蘭へ移行していくような気がします。胡蝶蘭は長持ちするので、その余韻に浸る時間が長く味わえるという差ではないでしょうか?」
現時点では法人需要が多いそうだが、近年は価格が少しずつ下がり、個人での需要も増えてきているという胡蝶蘭。
リーフの小売サイトでは、胡蝶蘭の3本立ち27輪クラス(¥12,300)~5本立ち45輪以上(¥20,000)の物が人気商品だという。
ちなみに、リーフでは、生産農場としては珍しく、どこの胡蝶蘭であっても回収し再生・再使用などを行ってくれるそうだ。
特別のお祝いのときだけでなく、記念日・誕生日などにも、余韻を長く楽しめる「胡蝶蘭」はいかが?
(田幸和歌子)