「今日、ローマ字で『TAKE(竹)』をうっかり『take(テイク)』って読みそうになっちゃった(笑)」
小4の娘の話を聞いて、なるほどと思った。

自分たちが子どもの頃は、小学生で「ローマ字」を習い、自分や友達の名前・地名などをローマ字で書く段階を経て、中学で「英語」に出合ったものだった。

でも、今は小学生から英語を学習するようになっている(コネタ既出)。実際、挨拶やゲームが中心で、文字などは学校ではあまり扱わないようだけど、現時点で「ローマ字」を学ぶより先に、英語学習をやっている小学生も多いのではないだろうか。

ところで、英語を先に学んでしまうと、ローマ字表記に違和感を覚える子もいるだろう。また、大人になると「ローマ字学習って必要だったの?」と思うこともある。
もちろんPCなどはローマ字入力が主流であり、ローマ字表記は必要だとは思うものの、ローマ字のつづり方には訓令式やヘボン式など、様々なものがあってややこしい。
ローマ字のつづり方は、「内閣告示第一号」(昭和二十九年十二月九日)で定められているけれど、「はねる音を表わすnと次にくる母音字またはyとを切り離す必要がある場合には、nの次に’を入れる」「長音は母音字の上に ^ をつけて表わす。
なお、大文字の場合は母音字を並べてもよい」などといったことは、日常で使用することがない。
さらに、ローマ字はこれまで4年生で学習していたが、新学習指導要領では3年に移動している。なぜなのか。文部科学省の初等中等教育局教育課程課教育課程企画室に聞いた。

「今は3年から総合的な学習の時間でパソコンを使って調べものをしたり、入力したりと、学習の場面で使うことが出ています。また、日常生活の中で、ローマ字表記の案内やパンフレットなどを見ることも増え、情報化が進展するなかでキーボードや携帯の文字入力が必要になっていることなども踏まえて、早めに学習を進めようということです」

今のように英語学習を先に始めた後、ローマ字を学ぶと、不思議な感覚もあるけれど……。

「英語は『外国語学習』ですが、ローマ字は『国語』ですから、教科の狙いも目的も枠組みも全く違います。ローマ字はあくまで『国語』なので、平仮名→カタカナ→ローマ字とくる国語表記の系統性があり、『総合的な国語科の学習』なんです」

ところで、街中で見るローマ字表記はほとんどヘボン式だが、学校で教えるのは主に訓令式。そんなローマ字表記に関する論争は昔からあり、今では両方教える教科書も出ている。
ちなみに、娘が使用している教育出版の教科書『ひろがる言葉』(4年下)にはこんな記述もある。
「ローマ字のつづり方には、『ローマ字5(4年上)』 で習ったつづり方のほかに、別のつづり方があります」

例として挙げられていた一部は……。

mati-machi
syasin-shashin
mangetu-mangetsu
Huzisan-Fujisan

半年前に習ったつづりと「別のつづり方」を同じ学年で習うというのは、厄介にも思える。

「外国語学習」の英語と、「国語学習」のローマ字とは別の話だし、ローマ字入力とローマ字表記も別の話。
でも、英語学習をしながら、同時に短期間にローマ字の2種のつづり方を習う小学生たち。PCを使った学習や日常でローマ字表記に触れる機会も多いからこそ、余計に混乱してしまいそうな気もします。
(田幸和歌子)