「災害時には公衆電話が最も通じやすい」ということから、今回の震災で公衆電話に大行列ができたことが報じられていた。

新潟県中越地震(04年)の発生の際には、公衆電話が減少していたため被災住民に不便となったことや、岩手・宮城内陸地震(08年)の際に公衆電話が最も通じやすかったことが、過去には報道されていた。


公衆電話が災害時に強いのは、NTTが設置する公衆電話が「優先電話」と同様の扱いとなっているため(総務省HPより)。
だが、携帯電話の普及などで、近年は公衆電話が減少しているのは、皮肉な話だ。
2010年3月末時点で公衆電話総数は28万3161台。2000年3月末時点の73万5812台と比べると、3分の1強に減少してしまっている。

さらに、公衆電話が「故障」しているケースもけっこうある。
都内に住む我が家では、小学生の娘にテレホンカードを持たせ、習い事の終了時などに電話をさせていたのだが、周囲のコンビニ前や公園などの複数個所の公衆電話が故障中だったことから、先生や友達の携帯から連絡をもらった……ということが何度かあった。
硬貨を持たせるようにしても、やはり「故障中」で使えないものもあった。
ちなみに、小学校に設置されている公衆電話もしばらく故障したままで、事務担当者に伝えたところ、「PTAからの寄贈品なので、PTA会長にでも修理を交渉して下さい」という回答が。
公衆電話って、そもそも故障したら修理してもらえるものじゃないの? 点検などはどうしているの? NTT東日本・公衆電話担当者に聞いてみた。

「公衆電話の点検は随時まわっています。でも、故障を見つけた際には『113』に連絡していただければ良いですし、機種によって違いますが、最新のデジタル公衆電話であれば、遠隔で点検をすることもできます」
固定電話・携帯電話のいずれからでも「113」に連絡をすれば良いそうだが、連絡する際には「整理番号」が必要だという。
「整理番号は、たとえば『渋谷003』のように、地名と数字から成り立っています。
公衆電話ボックスの電話機の横ぐらい、あるいは見上げた場所ぐらいに表示がありまして、それを伝えていただければ、公衆電話の場所を特定することができます」

ところで、故障した公衆電話の修理代金などは……?
「公衆電話は一般の加入電話と違いますので、故意にこわしていない限り、無償となります。公園や道端、タバコ屋、コンビニ前、公共施設内などすべてです」
旅館などに置かれているいわゆる「ピンク電話」(現在は「PてれほんCII」という白い電話が主流)は、一般の加入電話と同じ扱いになるため、公衆電話扱いではないそうだが、緑色やグレーのものは、すべて「公衆電話」なので、「無償で修理してもらえる」という。

でも、「テレホンカードは使えない」状態の公衆電話、故障している公衆電話をかなり見かけるけど……。
「随時点検にまわっていましたが、今回の震災後は通常より点検を増やしています。それでも、故障や、テレホンカードが使えないものなどを見つけた方はご連絡いただければ」

公衆電話は、たまに使う程度のものなので、故障を見ても連絡しない……という人が多く、故障したまま放置されているのだろうか。

ちなみに以下のことも覚えておきたい。


○停電時でも、カードでなく硬貨であれば、発信可能。
○災害時には、公衆電話からの通話が無料となる。ただし、デジタル公衆電話の場合、受話器をとるだけで通話可能になるが、アナログ公衆電話は硬貨の投入が必要(通話後に硬貨は戻る)。

日頃使わなくなっている公衆電話だけど、自宅近辺のどこにあるのか、ちゃんと「使える」状態かは、有事に備えて確認しておきたいものだ。
(田幸和歌子)