「以前はどちらかというと、あまり汗をあまりかかなかったのに、出産後になぜか汗かきになった」
「出産してから汗かきになったけど、体質が変わったのかも?」
「出産したらよく汗をかくようになった。以前は全然汗をかけなかったのに……。
もしかしたら、代謝が良くなったのかも♪」

女性のそんな話をよく耳にする。
実際、自分も以前はあまり汗をかかなかったのに、今は夏場など、ちょっと歩くだけで、汗をかくようになってしまった。
これが「代謝が良くなった」せいだったら、嬉しいけれど……。

実際のところ、どうなのか。出産すると、体質が変わるものなの? 多汗症・体臭・ワキガなどの治療でおなじみの五味クリニック五味常明院長に聞いた。
「そもそも汗をかく発汗機能は、男性ホルモンによって活発になり、女性ホルモンで発汗を抑えられ、調節されています。
しかし、子どもを産むと、ホルモンバランスが崩れて一時的に女性ホルモンが低下し、男性ホルモンが優位になるので、一時的に汗かきになるのです。これを『産褥期多汗』と言うんですよ」

汗かきになると、それが気になって、『精神性発汗』として汗をかいてしまい、そうした状態が長期間続く人も多いという。
さらに悲しいのは、その後も続いてしまうケース!

「『産褥期多汗』の一時的な汗かきから、汗を気にして『精神性発汗』が続いて、そのまま『更年期多汗症』になってしまう人も多いです。女性ホルモンの分泌が低下してくる更年期になると、汗腺機能が老化します。すると、体温調節がうまくいかなくなり、暑くないのに汗が出たり、いつでも汗が出る……という状態になるのです」
がーん!! 「出産後に代謝が良くなって、汗かきになったのかも」なんて期待していたのに、なんだかショック……。

ちなみに、「産後に太って、汗かきになった」なんて人もいるが、太った人の場合は、皮下脂肪が厚いため、皮下脂肪に覆われて熱が体内にこもってしまい、体温調節するために汗をかくということらしい。


汗をかくのは、人間にとって必要なこと。でも、「顔ばかり汗をかく」とか「いつでもどこでも汗をかく」のは、汗腺機能が衰えている証。
汗腺機能を高めるためには以下の「汗腺トレーニング」がオススメだそうだ。

○高温手足浴……43℃くらいの熱めのシャワーを、ひざから下とひじから下に10~15分くらいかける
○微温浴……36℃程度のぬるめのお湯に10~15分ぐらいゆっくりつかる
○汗の乾燥……風呂上がりに汗をしっかり拭き、すぐに服を着ないで体を乾燥させる

夏本番になる前に、今から取り入れてみるか。
(田幸和歌子)