夏といえば、海、花火、そして食中毒。毎年、世界のいたるところで忘れた頃に猛威を振るっている。


食中毒菌として最もよく聞くのが、病原性大腸菌。最も有名なものにO157があり、焼き肉屋のユッケから検出されたのはO111だった。ドイツでは5、6月にかけてO104が猛威を振るった。

この病原性大腸菌の名前、157とか111とかいう番号は、どうやって決まっているのだろうか? 例えば危険なものほど番号が大きいとか、何か意味があるのだろうか?  というか、そもそもこの「O」は何のOなのだろうか?

神戸市健康教育課のホームページによると、この「O」は、「雲りが生じない」という意味のドイツ語の頭文字なのだそうだ。

大腸菌は、菌の表面にある抗原(O抗原)と、表面からひげのように伸びるべん毛にある抗原(H抗原)により分類されている。普通の大腸菌は、寒天の上で培養すると濁って見えるのだが、べん毛を持っていない大腸菌は培養しても曇って見えない。
菌の表面にある抗原はこの「曇りが生じない」大腸菌から発見されたことから、O抗原という名前がついたのだそうだ。

ではOの後についている数字は何かというと、これは単純に、発見された番号らしい。つまりO157は157番目に発見されたO抗原で、O111は111番目に発見されたというわけ。O157が発見されたのは1982年で、アメリカオレゴン州とミシガン州で起こったハンバーガーの集団食中毒事件がきっかけだったそう。

病原性大腸菌以外の食中毒菌の名前の由来は、神戸市ホームページで紹介されている。発見者の名前や菌の形状に由来したものなど、いろいろあって興味深いが、最も興味深いのは、「セレウス」という菌。
あまりなじみの無い菌だが、米をはじめ穀物に多く付着している菌であることから、ローマ神話の穀物の神セレス(ceres)に由来してつけられたとのことだ。

食中毒予防のポイントは、(1)新鮮な食品を買い、(2)かならず冷蔵庫・冷凍庫で保存、(3)食品だけでなく手や台所用品はいつもきれいに、(4)調理の際は充分に加熱、(5)できた料理はできたての状態で食べ、(6)残った食品の保存にも注意、の6つ。食中毒菌の名前を覚えるのは、病院以外の場所にしましょうね。
(珍満軒/studio woofoo)