ビッグマック指数というのがある。世界で売られているビッグマックの価格が各国の経済力に関係しており、為替レートと比較することで、今後為替レートがどういう風に変動するかを予測したりできるというものだ。


例えば、日本のビッグマックの値段が300円、アメリカでは2.5ドルで売られているとする。ビッグマック指数では、ビッグマックは世界中でほぼ同じ品質のものであり、各国で同じ価値を持っていると考える。そうすると、日本円のアメリカドルに対するビッグマック指数は、1ドル=300/2.5=120円ということになる。もしこのときの為替レートが1ドル=110円だったとすると、為替相場はビッグマック指数に比べて円高であり、円が過大評価されているから、今後1ドル=120円に向けて円安が進むだろう、と推測する、といった感じで利用する。

ちなみに2011年7月に発表された最新ビッグマック指数では1ドル=78.7円であり、同じ時期の為替レート1ドル=78.4円とかなり近い値となっている。

たった1つのビッグマックで各国経済の厳密な比較ができるわけではないが、一見分かりにくい経済学も、身近なものと関係させることで一気に親近感が湧いたりするもので、ビッグマック指数はイギリスの経済誌エコノミストで25年前に提案されて以来、いろんな人によって利用されてきたようだ。

ビッグマックに限らず、実は経済指標に使われている身近な商品というのは他にも存在する。商品がビッグマック指数的に使われる重要な条件は、その商品が、世界中で、同じ品質で提供されている、ということである。例えば、スターバックスのトールラテとか、イケアの本棚「ビリー本棚」 がこれに該当する。トールラテ指数はアメリカCNNが、ビリー本棚指数は経済・金融情報の配信などを手がけるアメリカのブルームバーグ(Bloomberg)が提案したもの。ちなみにビリー本棚は非常にシンプルな作りで、いかにも世界中どこの家でも違和感無くフィットしそうな感じを醸し出している。

比較的新しいのがiPod指数。
オーストラリアコモンウェルス銀行が提案したもので、やや流行に便乗してる感が否めないが、発案者のクレイグ・ジェームス氏いわく、「各国で生産されるビッグマックとは違い、iPodはほとんどが同じ国(中国)で生産されるから、各国通過の価値をより厳密に示しているのだ」とのこと。そろそろ誰かが、iPad指数を提案し始めるんじゃないだろうか。

少し変わり種としては、「男の下着指数」というのがある。アメリカの元経済レポーターであるロバート・クルウィッチ氏が提案したもので、各国の男性下着の売れ行きがその国の景気を反映している、というもの。家計が厳しくなるとまず削られるのが男の下着である、という仮説のもとに作られたという、哀愁ただよう指数であるが、この指数が結構リアルに各国の景気を反映している、という事実がまた哀愁をそそるのであった。
(エクソシスト太郎)
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