諸事情で、真冬の旭川に行くことになった。
真冬の札幌には何度か行ったことがあるが、旭川といえば、春に札幌から日帰りした旭山動物園の思い出があるくらい。

同じ北海道でも、札幌などとは別格の寒さと聞くけれど……。確か日本の最低気温記録があった気も?

調べてみると、旭川市公式HPに「最低気温の記録(気象官署)」として、富士山頂の記録よりも低い氷点下41.0度の記録があった(明治35年1月25日・上川測候所記録)。
「雪の降る日数」も年間143.8日(30年間平均)で日本一らしい。
さらに調べると、数々のオフィシャルHPや個人ブログなどに「考え付く限りの防寒を」「帽子、マフラー、手袋は必需品」「靴の中にカイロを入れたり、おなかや腰などにカイロを貼るのも良い」といった情報が溢れ、おまけに「滑らない底の靴」という指摘も多数!
子どもの頃は、地元・長野で冬になると、雪上で滑りにくい「スノトレ」をみんな履いていたけれど、東京にはなかなかないし……。

そんな話を長野在住の母に電話でしたところ、なんと長野でハイテクな「滑らないブーツ」を購入し、送ってくれた。
かくして、恥ずかしいほどの大騒ぎ&完全防備でいざ出発。
だが、地元・旭川の観光業者はこんな話をしてくれた。
「昔に比べて、いまは旭川もずいぶんあったかくなったよ。20度超える日なんて、そんなにないからね」
一瞬意味がわからなかったが、これは「マイナス20度」のこと。夏の気温「20度」も、冬の気温「マイナス20度」も「こっちの人たちは、零下とかつけないで同じに喋るから、覚えておくと良いよ」とのことだった。
地元の人にとっては「昔に比べると、ずいぶん温かくなった」とはいえ、やはり本当に寒い。どの程度寒いかというと……。

「外で、蒸しタオルを20回くらい振り回してみて。凍るから」

真冬の旭川来訪者たちは、やはり寒さと雪対策に悩む人が多いようだが、こんなアドバイスをしてくれた。
「『長靴を買って行きます』って言うお客さんが多いけど、長靴はこっち(旭川)に来てから買うほうが良いですよ。靴底が滑りにくくなっていて、全然違うから。ブーツも同じ。また、手袋もどうせだったら、こっちで買うほうが良いですよ。
布団みたいな綿が中に入れてあるものが多くて、あたたかさが違います。防水のものや革なども豊富です」

ところで、旅行者などは防寒対策でグルグル巻きになっているが、地元の人は寒さに慣れているから案外薄着で、「地元の人と旅行者は、すぐ見分けがつく」というのも、よく聞く話。実際、極寒のなか、地元の若い女の子たちは、スカート姿で歩いていたり、歩き慣れているため、普通のスニーカーを履いていたりした。
駅前や広い道などでは、ロードヒーティングされていて雪はないが、注意したいのは、タクシーから降りた瞬間や横断歩道を渡るときに転びそうになること。

ちなみに、いちばんメジャーな観光スポット「旭山動物園」の冬期の入園は午後3時00分まで(開園は3時半まで)。スキーやスノボはもちろん、「かんじき」など様々な体験ができる真冬の旭川。
寒くても魅力的です。
(田幸和歌子)