社会人となり、初めて一人暮らしを始めた時。親から“船出”という意味で、印鑑を贈られた。
実印と銀行印と認印。正直、かなり高価な物だと思う。これらの印鑑、未だに愛用しています。手に取る度に、背筋がシャンと伸びる気がします。
だからこそ、私にはわかる。「既成の物ではなくて、やはり本格的な印鑑を……」と考える人の気持ちが。


そこで、この情報をお送りしたい。株式会社UCHIO WILLは1月末より、“世界初の印鑑自販機”を展開しているらしい。その名も、『セルフはんこBOX』。

利用法は簡単。まず画面上から印鑑の種類(実印・銀行印・認印)を選択。続いて、彫刻する名前を入力する(最大8文字まで)。
この際は漢字・平仮名・カタカナ・英語で入力するのだが、旧字体も可能とのこと。次に印影(現在は3種類の字体)を選び、印面が出たら文字ごとの上下左右高さ低さ太さ等を好みに調整する。
最後に20種類の中から印材を選んで、機械にセット。彫刻が行われ、印鑑は完成となる。この間、約5~10分!

手軽でスピーディ! 第一、“はんこの自動販売機”ってのが斬新だと思う。でも、どうしてこのような物を開発しようと思ったのか? 同社に伺ってみた。

「これからのビジネスは、『いかに時間を短縮するか』だと思います。マクドナルドや王将はお客を待たせないスピード感で、差別化をしています。そこで当社は『はんこ業界で一番早く実印を作りたい!』と思いました。そこで考えたのが、自販機です。これなら、その場で持ち帰ることが出来ます」(担当者)

また、この自販機が信頼できるのは以下の点だ。
「はんこの性質上、同じものが絶対に出来ないようにしなければなりません。
そこで、ユーザーが細かく調整や文字選びが出来るようにした点に苦労しました」(担当者)
文字の大きさや位置などを自由に変えられるからこその、この長所。これらを成し遂げるために、開発には3年の月日を要したそうだ。

そうした長い月日を経て完成した『セルフはんこBOX』。第1号は、まず岩手に設置されている。これには、実は深い理由がある模様。
「この度の震災ではんこ屋が10店以上閉鎖したと聞いております。
これから復興に向け、被災者に安くて早い自販機がお役に立てると考えました」(担当者)

そんな“はんこの自動販売機”は、現時点で実際に3台が市場で活躍している。
「反響としては、まず出来上がりの速さにびっくりしている方が多いです。他には、フルネームのはんこが10ミリの認印に彫れることに驚いている方もいらっしゃいます」(担当者)
ちなみに、1本作るのに必要な料金は500~5000円。印鑑の素材に合わせ、価格は変動していくようだ。

この自販機のメリットは、珍しい苗字はもちろん、よくある苗字の人もフルネームで“自分だけのハンコ”を作れるということ。
今後、ホームセンターやコンビニ、スーパーマーケットなどに設置する予定だという。

(寺西ジャジューカ)