「流し」といっても知らない人が多いと思うが、「流し」とは、ギターやアコーディオンなどを抱えて、呑み屋でお客のリクエストに応えて音楽を引く人のこと。お店に入って演奏するところが、路上のストリートミュージシャンと似ているようでちょっと違います。

昔は、ちょっとした呑み屋街にいましたが、時代の移り変わりもあってまったく見かけなくなりました。
ところが、新橋で「流し」のギター弾きを見かけた! どうやら、携帯電話であちこちの店に呼び出されて、J-POPやフォークソングなどをギターで演奏しているよう。居合わせたその店でも、酔っ払いがみんなで、アリスの曲を大合唱。そのとき見かけた流しさんに、最近の流し事情などを聞いてみました。
お話を伺ったのは、新橋や上野で活動する“喜44(キヨシ)”さん。

流し歴をはじめた理由を聞いてみると、なんと音楽歴は27年! バンドブームやインディーズを経て、「流しを始めた理由は売れないバンドマンがいろんなバイトをするでしょ?! それです。
94年に路上で当時のバンドのオリジナルを演奏してたら、お客さんが来て『君いいね』と言われてそのまま飲み屋に連れていかれたのがきっかけ。そこでリクエストされるまま歌ったら、バブルの名残りもあったてチップをガンガン貰えて嬉しくなっちゃったのが最初」だとか。
最近のお客の年齢層を聞いてみると、だいたいが30~50代の男性が8割。
最近のリクエストの傾向は、「やっぱり震災後は「上を向いて歩こう」や「負けないで」など前向きな歌が多い」そう。来よしさんは、お金持たず、「流し」の旅で無一文でギター一本だけで国内をぐるりと周ったり、都内でも銀座、赤坂、錦糸町、赤羽、蒲田なども出没しているとか。
「流し」をやっているといろんなことがありそうですが、そのへんを突っ込んでみると。

「良い思い出は、自殺を考えてた人が曲を聴いたあとに立ち直って、数年後また会いに来てくれて感謝されたや、流しの演奏がきっかけで出会った男女が結婚したこととかですね」と喜44さん。
やっぱり酒と音楽が絡むとドラマチックなことも起きますね。こんな夜は、やっぱり一杯行っちゃいますか?!
(カシハラ@姐御)