かつて『さおだけ屋はなぜ潰れないのか?』という一冊が話題になったが、確かに何でだ? 読んでなくて申し訳ないのだが、そういえば今でも「さ~おや~、さおだけーっ」と物干し竿を売るトラックを稀に見ることがある。不思議と「うるさいなぁ」と思うわけでもなく、少しほっこりしてしまうのが面白い。


ところで、こんな車を見かけたことはあるだろうか? 「つ~え屋~、つえだけ~っ」の声とともに町内を回る販売車を。私は、ない。でも読者の方々の中には、もしかしたらいるかも……? 実際、そういった車が京都市内を中心に巡回しているらしいんです。京都府京都市にある「株式会社つえ屋」は、2月初旬から“つえの移動販売車”を走らせているらしい。

そんな車を目にしたら非常にインパクト大だと思うのだが、別に奇をてらって始めたサービスではない。
「やはりつえを買うお客様は、高齢の方や足の悪い(障害を持った)方が多いんですね。
介助者の協力を得てお店に来る方もいらっしゃいますが、『お店に来たくても来られない人がいるのではないか?』と考えました。そういうお客様に、一人でも多くつえを見てもらうことはできないのか? と……」(つえ屋・担当者)
このような思いで、同サービスはスタート。多い日は、1台に400本ものつえを積んで巡回することもあるらしい。

そして、この販売車の移動エリアについて。
「京都市内を中心に、亀岡市や宇治市など大阪の近くの方まで行くこともあります」(担当者)
道順は毎日計画を立てた順路を走るのだが、老人施設や介護施設など要望が多く寄せられたエリアを通ることもある。事実、京都市は高齢者の方が多く住む町だそうだ。


そこで、素朴な疑問。つえの相場って、いくら位なんだろう?
「一番売れる価格帯は、1万から1万5000円くらいのつえですね」(担当者)
この販売車が稼働するのは、だいたい朝10時から夜7時まで。その間、多くて20本くらいを売り上げる日もあるそうだ。

「高齢になると足も悪くなり、外に出掛けられなくなる方も増えます。だからこそ、近所でつえを買ってもらって行動範囲を広げてもらう。そういった楽しみを持ってもらうのが、目的なんです」(担当者)

この移動車は、京都市ならびにその近郊を毎日走っているそうだ。
合言葉は「つ~え屋~、つえだけ~っ」。
(寺西ジャジューカ)