いや、よく考えたら当然? 順当かも。だって、何十年も前から“好きな給食のメニュー”の定番に挙げられてたじゃないですか!
っていうか、今考えると給食って基本的にどのメニューも美味しかった気がするなぁ。だからこそ、この本が要チェック。フードプロデューサー・藤原勝子氏が手掛け、4月1日から群羊社より発売されている『おうちでスクールランチ』(税別1,400円)は、全国から選出した39校の人気No.1の給食メニューの作り方が掲載されている“学校給食人気メニューのレシピ本”。これさえあれば、学校に通ってなくても愛しの給食が食べられるわけです。
今まで数々のレシピ本を取材してきたけど、こういうのはありそうでなかった。ところで、このレシピ本製作のきっかけが興味深いんです。話を聞くと、思いもよらない深い意図が込められていて。
「学校給食に対しては、昔から『まずい』、『ださい』、『残す』というイメージが抱かれがちでしたが、今では『家でも作って!』という声が大きくなっているんです」(藤原氏)
2005年に食育基本法が制定され、それからは国を挙げて「食育を推進していこう」という動きがスタートしているそう。以降、我々にとって“給食のおばちゃん”だった栄養士さん達は、“栄養教諭”として教壇に立つ先生としても認識されているようだ。
そして、給食も“学校給食”ではなく“スクールランチ”と呼ぶにふさわしい、楽しめる内容に形を変えてきている。
また、家庭で給食レシピを試すメリットは数多い。
「給食には、『一日の1人分のコストを300円以下に』、『栄養分を保つ』、『安全安心』という非常に高いハードルが設けられています。これを毎日メニューを変えながら家庭で実践するのは、本当に難しいことですよね」(藤原氏)
でも、この本があれば問題なく実践できるのだ。結果、家計は助かるし、栄養のバランスもとれるし、お父さんのメタボ予防にもなるし……。
これは、ちょっと興味があるな……。現代のスクールランチ事情は、どうなっているのだろう? 早速、このレシピ本を頼りに料理を作ってみました!
私が試したのは、東京都葛飾区立水元小学校の「七夕そうめん」と「ゆで豚サラダ ごまドレッシング」の二品。暑くなってきただけに、サッパリしたものを頂きたかったんです。
まず、分量について。家庭向けだけに、4人分で指示してくれている。当然、私たちは大量調理をしないから、こんな風に提示してくれると本当に助かります。
そして、難易度について。
「いや、全然難しくないよ。やろうと思えば、料理しない人でも何とか作れると思う」(料理上手な知人の弁)
そうですか! 今度、時間ができたらチャレンジしてみようかな……。
そんなこんなで出来上がったスクールランチたち。よし、では「七夕そうめん」を頂きます。しかし、もう口にする前から満足に近い。見た目が、メッチャ鮮やかなのだ。「こんなん、学校で出るの!?」という驚きが、紛れもない第一印象で。
じゃあ、食べますよ? ……いいねぇ。味は濃くもなく、薄くもなく。そして何杯でもおかわりできちゃう程に、お箸が進む。凄くサッパリしてるからなのかも。
そして、次は「ゆで豚サラダ ごまドレッシング」の登場。いただきます! ……うん、これも良い。練りごまの香ばしさと新鮮な野菜の調和。そして、豚肩ロース肉。どうですか、もう栄養分のグランドスラムじゃないですか! さすが、給食レシピだ。
このサラダを食べながら、テレビを観ていたら……。元は給食なのにこんな感想で申し訳ないのだが、ビール片手にまったりとしたい気分になってきちゃいました。仕事が終わり、家に帰ってこのメニューが出てきたら最高。子供も大人も満足させるメニューです。
そんなレシピ本、『おうちでスクールランチ』。発売以来、かなりの反響が寄せられているそうだ。例えば、レストランのオーナーや食品メーカーの社長などから「今の子供は、こういうのが好きなのか!」、「早速、メニューに加えたい」といった声が上がってきている。なるほど、業界によってはマーケティングにも役立てられているようだ。
そして、最後に。この本を企画した藤原氏は、夢を持っている。
「今回は39校分しか掲載できませんでしたが、いつかは全国2万校以上のレシピを全て網羅したいんです」(藤原氏)
壮大な夢。でも、成就してくれたら私は嬉しい。形になったら、買いますよ!
(寺西ジャジューカ)