例えば、よく話題になるのは、『スラムダンク』。
昔から流川楓がいちばん好きという女性ももちろんいるけれど、「やっぱりミッチー(天才シューター三井寿→怪我で挫折&自暴自棄→『バスケがしたいです』で復活)」「あえて地味で温厚&3Pシューターのメガネくん(木暮公延)」という人も少なくないはず。
そんな人たちの変化としてときどき聞くのは、「みんながキャアキャアいう流川を昔は『ケッ』と思っていたけど、大人になってみると、天才に見えて実は誰より努力している流川に心打たれる」「昔は何も思わなかった桜木花道が、バカで熱くて純粋で、いちばん可愛いと思うようになった」などの声だ。
そんな「大人になってから魅力発見」のキャラをいくつか挙げてみたい。
○『ドラゴンボール』ベジータ&ピッコロ&天津飯
・ベジータは、「エリートのプリンスなのに、天真爛漫な悟空に絶対に勝てない不憫さ」「生真面目さ」「壊滅的なファッションセンスとM字ハゲ」が実にキュート。
・ピッコロも同じく「生真面目で、冗談が全く通じないところ」「怖い顔で優しいところ」「自分の見た目が人間と全然違うことに長年気づいてなかった天然ぶり」などが魅力的だ。
・天津飯は得意の目くらまし技「太陽拳」を後に他の人に簡単にパクられたり、「禁断の秘技」だったはずの「気功砲」を後に他の人が避難するための穴掘りに使うという成り下がりぶり・悲哀にキュンとくる。
○『ドカベン』シリーズの実力ナンバーワン投手・不知火(しらぬい)。かっこ良く、実力もあるのに、いつも「フフフ」と乙女笑いをするところ&山田太郎ばかりを追いまわしているところ&岩鬼に「フチカちゃん」と呼ばれているところもキュート。
○『北斗の拳』レイ。「南斗水鳥拳」の華麗な技で魅了していたが、後にケンシロウの戦いの「解説者」になってしまうショボさに、キュンとくる。
○『キン肉マン』のアシュラマン。
○『巨人の星』の父・星一徹。昔は、スパルタ教育で息子・飛雄馬が可哀想だと思ったが、大人になると誰より純粋で可愛く思えてくる。
小説も漫画も映画も、読む時期や見る時期によって、別の見方になることは往々にしてあるもの。自分自身の変化の発見にもなるので、時を経て何度も触れてみたいものです。
(田幸和歌子)