近年、ジャイアンが「本当は頼りになるヤツ」イメージになっているのに対し、スネ夫は「ケチ」「自慢ばかりする」「ずる賢い」「ゴマすり」などなど、とにかくイメージが悪い(コネタ既出)
これは、長編映画などで仲間を裏切る役どころをスネ夫が務めるケースが多いことが少なからず影響しているだろう。


でも、何かと嫌われがちなスネ夫にも、少しは良いところがあるんじゃないだろうか。
そこで、『藤子・F・不二雄大全集 ドラえもん』の1~3巻の中から、スネ夫の良いところを探してみた。

1・歌がうまい
「ジャリッ子のどじまん」というテレビ番組に出演。「うまいなぁ」「かっこよかったわ」などとみんなに言われる(1巻「おいかけテレビ」)。

2・ポジティブシンキング
良いところと言って良いか微妙だが、とにかくポジティブで、自分の顔が大好き。鏡に30分もむかっていたりする(1巻「マル秘 スパイ大作戦」)。
ただし、「ただひとつのけってん」は「チビ」と自覚(1巻「手足七本目が三つ」)。

3・理科的発想ができる
SFなどの科学的知識もしばしば見られるが、「ジャガイモとトマト」が「同じなかまの植物だから、つぎ木ができる」なんていう発想力も(1巻「のぞきオバケ」)。

4・情報収集力がある
のび太をみんなでプールに誘い、スネ夫だけが「のび太は行かない」に10円をかける。実はのび太が泳げないことはリサーチ済み(1巻「ソーナルじょう」)。また、ハイキングの前日の天気予報チェックもスネ夫が行っている(2巻「お天気ボックス」)。

5・器用
戦艦やラジコン、鉄道模型、後期はガンプラ的なものなど、プラモデルを組み立てたりしていることも多く、射撃も得意(2巻「アタールガン」)。


6・推理&指令もできる
作戦を考えたり、推理したり、指令しているのも、案外スネ夫が多い。(2巻「ペタリぐつとペタリ手ぶくろ」では、やしきのひみつを探るために忍者隊を結成していた)

7・モノの価値を知っている
様々なコレクションがあり、モノの価値をよく知っている。ただし、自慢するのがたまにきず。

8・「良心」はあるらしい
ダイヤ(見かけは美しいが、実は悪運を呼び寄せる「悪運ダイヤ」)を道に落としておくと、欲深いスネ夫が「じつはこれ、ぼくのだよ」とウソをついて拾っていく。だが、「やっぱり良心がゆるさない。これ、ぼくのじゃないんだ、返すよ」とのび太に返却(2巻「悪運ダイヤ」)。


9・オシャレで流行に敏感で、センスがある
スカートが長くなっている流行をおさえていたり、「すその広いパンタロン」が流行ると、歩けないほど広いすそのものを着用する奇抜さ(2巻「流行性ネコシャクシビールス」)。デザイナーになるのが夢で、ノートにデザイン画を描きためるなど勉強中。けっこう良いセンス!(3巻「きせかえカメラ」)

10・意外と正論も言う
のび太がスネ夫から借りた双眼鏡を別の友人に貸し、友人はのび太に返したと言うトラブルが発生。「だいたいね、ぼくに借りた物を、人に貸すのが悪いんだ」とスネ夫。正しい!(3巻「ショージキデンパ」)

11・粋な交流もできる
ブラジルに引っ越したクラスメイトとテープによって「声のたより」を送り合う。別れた友人との交流を続けているのもスネ夫だけだが、声のたよりとはまた、粋な方法だ(3巻「ヤカンレコーダー」)。


12・占いもできる
女子などに占いをしてあげて好評。おべんちゃらばかりだが、相手を喜ばすツボを心得ていて、相手の心を操ることに長けているあたりも、占い師に向いている(3巻「ベロ相うらない大当たり!」)。

「ずる賢さ」は頭がよくまわる証拠だし、要領よくたちまわれるのも、視野が広い証拠。また、金持ちで良いモノをたくさん見ていることから、審美眼が着実に育っている。

欠点は確かに非常に多いスネ夫だけど、ズルさと嫌味がなければ案外、センスのかたまりなんじゃないかと思うのだけど……。
(田幸和歌子)