幻のコーヒー"コピ・ルアク"が手に入ったとのことで、コーヒーマスターの鈴木雄介さんに飲ませてもらうことになった。 めったに手に入らないものらしいのだが、まず"コピ・ルアク"とはどんなコーヒーなのだろうか。


「ズバリ、"うんちコーヒー"ですね!」(J.C.Q.A認定生豆鑑定マスター鈴木雄介さん)

一体この人は私に何を飲ませようとしているのか。 確かに珍しいかもしれないが、まずそもそも、うんちは飲み物ではないと思います……。

「心配しないで下さい! ちゃんとしたコーヒーです。 ジャコウネコにコーヒーチェリーを食べさせ、そのジャコウネコが体内で発酵させた未消化の状態のコーヒーの豆を、糞から取り出して、しっかり洗って作ったという、幻のコーヒーなんです」

ジャコウネコは、香料の原料として知られる霊猫香(れいびょうこう)を分泌する動物。 体内で豆を発酵させるという、その特殊な生成方法が独特な香りと味わいを生み、なかなか手に入らない幻のコーヒーとして、最高級品の一つに数えられるという。

実際に豆の香りをかいでみると、糞のような臭さはまったくない。
むしろ無臭でほのかに珈琲の香りを感じる程度。糞からできたという先入観にとらわれていたようだ。 そしてついにドリップしたコーヒーを飲むことに。 緊張しつつ、カップを口に傾ける。ゴクゴクゴク……

あ、飲みやすい! クセが強いものを想像していたので、スッキリした味わいにビックリした。

「そうなんです、味がスッキリしてますよね。
インドネシアが産地なんですが、東南アジア系は独特な風味のマンデリン以外にもスッキリしたものもあります」。

酸味とコクのバランスがよく、口の中で液体がコロコロと転がっていくような舌触り。ほのかなフレイバーもさることながら、飲んだあともまろやかな感触が口の中にしばらく残っている。コーヒーを飲んでいるのに、まるでデザートを味わっているような感覚とでも言おうか。

「他にも、飲みやすさの中に、土っぽい、森っぽい風味というか、どこか野性味も感じさせますよね!」

まろやかな後味を味わいながら、インドネシアの森を駆け抜けるジャコウネコを想像した。 一杯のコーヒーでだいぶ遠い世界まで心を馳せてしまったようだ。


ちなみに、この"コピ・ルアク"、お店などで簡単に手に入ることはなかなかないようだが、ネットで検索してみると通販情報などもたくさん出てくる。 値段はやや張りますが、興味ある方はぜひお試しを。 コーヒーマスター雄介さん、今回は貴重な体験をありがとうございました!
(銀座箱アレン)

コーヒーインストラクター検定
コーヒーマスター雄介さんが所属する株式会社スズアコーヒー店