パソコンからノイズや振動が起らず、静かな環境で作業ができる、そんなことを実現したい人へ。
これからもっと暖かくなってくるとパソコンの冷却ファンが一層うるさくなりがち。
そこで、ノイズ・振動がまったく出ないCPUクーラーを静音対策として使ってみてはどうだろうか。

ノイズ、振動の原因は冷却ファン。温度が上がってくるとファンの回転数も上がりうるさくなる。なので、代わりに大きな正六面体のヒートシンク、10本のヒートパイプ搭載でファンレスを実現したのがZALMANのCPUクーラー「ULTIMATE FANLESS CPU COOLER FX100」(ドスパラ)。見るからに冷却効率良さそうなこの製品。これで本当にファンレスPCが実現するのか。
なお、すべてのCPUに装着可能なのではなく、TDP(熱設計電力)が95Wまでという制限がある。それ以上の熱量になると冷却ファンを取り付ける必要があるので、購入時には確認のこと。

さて、同製品を販売するPCショップのドスパラに行って、現物を見てきた。ところで、ファンレスのCPUクーラーとしてよく見かけるのは水冷式タイプだ。これと比べて、FX100のメリットを聞いたところ、「壊れにくいところです」という。そう、とくに駆動する部分もなく、構造が単純なので一度使い出したらほとんどメンテナンスは必要なく使い続けられるのだ。
ファンがないのでホコリを吸い込みにくいのもいいところ。

手にとってみると大きい割には意外と軽く、問題はこの大きなCPUクーラーが入るPCケースがあるのかということ。聞いてみたところ、タワータイプのケース、たとえば同じくZALMANの「Z9PLUSシリーズ」などで、ふだんよく見かけるものよりやや大きめだ。やはりこれだけの大きなCPUクーラーの宿命としてケースも大きくなるのは仕方なし。

だが、ひとつ気になるのは、PCケースにも冷却ファンが付いており、CPUクーラーをファンレスにしても、依然としてノイズ・振動がゼロにはならないこと。何とかゼロにする方法はないのか。

「あります」
「え、それ本当?」
店頭にデモ機が展示されていたので早速見せてもらった。透明のアクリルケースに大きなCPUクーラー(FX100とは別の製品)をつけたPCが確かにあった。確かに、ファンがまったくない。これを実現できたポイントとして、ストレージに熱量が多いHDDの代わりにSSDを、そして低電圧版CPUなどを使ったことだそうだ。

ただし、ここまでファンレスにしたPCは上級者向けであり、初心者にはお勧めできないとのこと。場合によっては熱暴走が起る危険がゼロではないので。
正直、こうしたPCは3Dゲームや動画編集といった負荷の高い作業には向かないことを念頭におくべき。また、基本的にPCは風通しのいい環境に設置し、定期的に中に溜まったホコリを掃除することが重要だという。

CPUファンの音がとても気になる人で、大きめのPCケースでもオッケーな環境のユーザーには、FX100のようなアイテムは大いに役に立つだろう。あと、パソコンをガンガン使うときは夏場エアコンの設定温度をやや低めにしたほうがいいかも。
(羽石竜示)