ある日、パソコンショップの店頭を見ると、いつも使い慣れているスクエア型(縦横比が4:3または5:4比の画面)の液晶モニターがないことに気づいた。そのほとんどがワイド型(16:9または16:10)になってしまっていたのだ。
時代の流れを感じるわけだが、本当にこのままスクエア型のPCモニターは終ってしまうのか。

スクエア型はデスクスペースを有効に活用できるうえ、特徴である縦方向への広さによってWebブラウザ、ワープロソフトがとても見やすい、ということで重宝していた。ワイド型が登場したころは、自分の作業スタイルに合わないと思い、敬遠してきたわけだ。ところが、巷ではユーザーの多くがどんどんワイド型に乗り換え、売り場からスクエア型が姿を消しつつある。ワイド型の画面サイズがより大きく、より安価になったことで、従来よりも使いやすくなったということだろうか。

パソコンショップのドスパラに現状を聞いてみたところ、
・画面サイズ27~23インチが半数以上
・ワイドモニターが9割以上
という結果。
やはり大型化とワイド型への移行が顕著であり、残り1割のスクエア型を購入するユーザーについて、
「使用PC環境の諸事情によるのではないか」との推察。やはりデスクスペースの節約か、またはサブモニターとして使っているのかも。

この現状をどう分析すべきか。そこで、モニターメーカーのEIZOに聞くことにした。
まず、現状ラインアップと販売動向はどうなっているのか。
「当社は様々な市場や用途向けに液晶モニターを展開しています。
大雑把に言うと、コンシューマー向けはワイド型が普及しているのに対し、業務用途ではワイドとスクエアが混在している状況です」

「業務用途でスクエア型が使用されている理由は、モニター設置場所の制限や使用している業務ソフトの解像度によるものが多いです」
全体の販売の動向としては、同社でもワイド型の方が伸長しているそうだ。

ワイド型が普及しているおもな理由は何か。
「低価格化が挙げられます。液晶テレビの需要に対応するため、液晶パネルメーカーはワイド型の液晶パネルを効率的に生産するための設備を整えました。そのため、スクエア型よりもワイド型パネルのコストダウンが進みました」

「もう一つは、パソコン環境の変化が挙げられると思います。処理能力の向上、インターネット回線の高速化、OSのワイド対応推奨などから、パソコンでも動画を見ることが当たり前になっています。
その際には液晶テレビ同様にワイドの方が都合がよいと言えます」
結論として、
・価格の低廉化
・パソコン環境の変化
が合わさって、コンシューマーを中心にワイド化が進んだと考えられるのだという。

では、スクエア型のメリット、そして将来をどう見るか。
「これからパソコン環境を整えるユーザーが、積極的にスクエア型を選択する理由はほとんどないのではないかと思います」
「ただし、横方向に設置スペースが確保できないなどの制限があればスクエア型にメリットがあるでしょう」

一部の業務用を除いてスクエア型は今後も苦しいということか。筆者のようなスクエア派はどんどん選択肢が狭まる境遇に陥ってしまうわけ。
「大きな時代の変化には抗えない」
そんな感想である。
(羽石竜示)