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上記のような迷惑メールが、毎日毎日大量に送られてきていたのに、お盆近くになってから急にこなくなった。

不思議に思い、調べてみると、ネット上には自分と同様に「お盆や正月に迷惑メールが減る気がする」と感じている人の書き込みが少々見られた。


もしかして迷惑メール業者もお盆休みなのだろうか。
お盆の迷惑メール数について「迷惑メール相談センター」に聞いてみると、以下の回答があった。
「迷惑メールがお盆などに減るかどうかは、正直、よくわかりません。私の単なる印象ではありますが、全体の流通量としては特にお盆に減っているという感じはしませんね」
迷惑メールの相談件数・情報提供数には、時期による傾向は見られないという。
「受信者の行動傾向がありまして。たとえば、休みをとっているときや、時間ができたときにまとめてなど、情報提供するタイミングは人によって違いますので、それが迷惑メールの多い時期とは一致しないと思います」

また、迷惑メールは大量に送るため、いちいち手作業で送っているとは考えにくいのでは? と言う。
「よくニュースなどで見る逮捕された人というのも、何百万通とか報道されていますしね」

一方、あるITコンサルタントはこんな見解を述べる。
「迷惑メールには、海外から英語で来るものと日本から日本語で来るものがありますが、海外は正月やお盆に長期休暇はないので、迷惑メールも数はあまり変わらないと思います。でも、日本語の迷惑メールは確かにお盆や正月に減る傾向は見られますね。さすがに迷惑業者も盆正月は休んでいるパターンが多いと思うので、数が少なくなるのもうなずけます。迷惑業者も人の子ってことでは?」

ちなみに、2011年には、米セキュリティー・ソフトウエア大手のシマンテック社が、次のような興味深い発表をしている。
それは、2010年8月時点で1日あたり2100億通に達していた迷惑メールが、月を追うごとに減少し、同年クリスマスから2011年1月3日までに年末年始期間中には、1日あたり30億通前後にとどまったというものだ。

単純計算では、2010年夏から約5カ月の間に、ピーク時の1.5%にまで急減したということになる。
この急減の理由には、迷惑メールを大量に送りつけていた「Rustock」というネットワーク群が送信料を大きく減らしていることなどが指摘されていたが、根本的な理由は明らかになっていない。

また、2011年の新年早々には不正プログラムの感染をもたらすスパムメールが流行したように、一時的に減少することはあっても、その後に増えることは多々あるだけに、喜んでばかりはいられない。

それにしても、ふと考えてしまうのは、迷惑メール業者のお盆休みの過ごし方。日々迷惑を撒き散らしつつ、休むときはきっちり休むのだと考えると、無性に腹が立ってきませんか。
(田幸和歌子)
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