「あ~、ようやくみんな学校に行ってくれる」
自分が子どもの頃、夏休みが終わるときに母親がこう呟くのを聞いては、思った。
「これからお母さんはお昼に1人になっちゃう。
可哀想」「ホントは寂しいだろうに」
でも、自分が親になってみると、これが本音だということがよ~くわかる。
「ホントに早く学校が始まって欲しい」

そんなお母さんたちの切実な願いを耳にする機会の多いこと。
と同時に、お父さん・お母さん方の間でよく話題になるのが、「中学生は夏休みに何をして過ごしているのか」ということだ。

運動部に入っている場合は、「毎日部活漬けで、帰ってきたら寝るだけ」という話をよく聞く。また、塾がある子や受験生などは、「夏期講習に行っている」「勉強している」という答えだ。
だが、「それ以外」の場合は、本人たちも、親も、持て余していることが多いようだ。

実際、今の中学生は夏休みに何をして過ごしているのか。都内の中学生を持つ父親・母親などに聞いてみた。
「夏休みの間、うちの子、ずっと家にいるのよ(溜息)。一人でずっとPCばかりやっていて、心配になる」
「部活がないときは、ただただ寝てる」
ちなみに、「昼はずっと寝ていて、夜になって携帯(スマホ)ばかりイジってる」というパターンも多いようだ。

また、親からのこんな「苦情」が多く聞かれるのも、中学生ならでは。
「友達と遊ぶっていうと、遊園地に行くだの、映画だのカラオケだの、プリクラだの、ゲームセンターだの、お金のかかることばっかり」
「自分たちが中学生くらいの頃は、市民プールに行ったり、チャリで遠出したり、近所の神社や公園で遊んでいたのに……」
「自分が中学生の頃は、娯楽もないし、お金もないから、毎日誰かの家でくっちゃべったりしてたくらいだったのに……」

こう聞くと、なんだかロクでもない印象だが、中学生にもちゃんと「言い分」はある。

「こう暑いと、熱中症になっちゃうから、公園なんかじゃ遊べない。図書館などでは話すわけにいかないし、中学生がたまってると、小さい子たちが怖いかもしれないし」
「誰かの家に行こうってことになっても、親が働いている家が多いから、家に入れてもらえないことが多い」
そもそも多くの場合は、中学生にはお小遣いがたんまりあるわけでもない。高校生や大学生と違って、もちろんバイトもない。

そんなわけで、夏休み序盤に早々にお小遣いを使い果たして「金欠」になる→家で寝ているか、PCかケータイ、という子が多いのだそうだ。

単純に「今の中学生は」と批判することは簡単だが、親世代が過ごした中学時代とは、確かにいろいろ事情が変わっているのも事実。
そう思うと、中学生の時間を有意義に使ってくれる「部活」という存在のありがたさを改めて感じてしまうのです。
(田幸和歌子)
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