仏ペットフード製造業組合によれば、2008年の時点でパリに住む30.5%の人が犬を飼っているそうだ。一方で東京都福祉保健局によれば、2011年度の東京における犬の飼育世帯率は16.4%。集合住宅が多いにもかかわらず、なぜパリは犬を飼う人の割合が高いのか。
じつはフランスでは、集合住宅でのペット飼育について、家主が一方的に禁止することは法律上できない。ただし、休暇を過ごすためシーズンに限って借りる家具付き物件、闘犬などに使われるマスティフ種は例外となる。隣人に損害や迷惑をかける状況になった場合も別だ。そして飼育には個体標識のマイクロチップを埋め込むことが義務づけられている。同組合によれば、2012年にフランスで人気のあった犬種は、ラブラドール・レトリバー、ヨークシャーテリア、プードルの順だという。
犬の飼い方も日本と異なる。
ペットにとって暮らしやすいフランスだが、良いことばかりではない。フランスでは飼えなくなった犬の多くが、バカンスの前に捨てられるという。日本と異なりフランスは、仕事で長期休暇を取りやすい。そのためバカンス前になると、一緒に連れて行けない場合、留守中の面倒を見るペットシッターを探すことになる。数日なら良いが数週間単位でバカンスに出かけるので、ある程度の費用もかかる。そのためペットの面倒を見きれずに捨ててしまう飼い主が後を絶たないのだ。
ペットの遺棄には2年間の懲役と3万ユーロ(約400万円)の罰金が科せられる。しかし仏RTLが伝えたところによると、仏北部ディエップにある仏動物保護協会のセンターでは車で来た飼い主が、犬をフェンス越しに投げ入れていくという。通常は30匹から40匹をセンターで保護しているが、多くの人がバカンスに入る夏期は倍になるそうだ。
(加藤亨延)