そんな"豊かな国"とされる日本でさえ、スマートフォンが普及したのは2010年以降である。無線LANの「Wi-Fi」に至っては2012年になってようやく都市部で普及し始めてきた程度なのだ。
ならば、ベトナムではどうだろうか。国民の平均年収を考えたら、高価な情報機器はあまり普及していないのではないかと思うだろう。だが意外にも、スマートフォンや無線LANの普及率は高いのだ。
ベトナムは驚きのスマホ普及率
ベトナムでは、2012年の統計ではスマートフォンを持つ若者世代(10代~30代)は40%を越えている。首都ハノイ、及び南部最大都市のホーチミンのみに焦点を当てると、おそらくさらにこの割合は増えると考えられる。
彼らの平均年収は決して高くないのに、なぜこんなに普及率が高いのだろうか。
ベトナムの携帯電話事情
日本では月額基本使用料をパックで申し込み、それとは別にパケット代、通話料を支払う。アプリで発生する課金も別料金だ。
一方ベトナムは、携帯電話と別に「SIMカード」を購入し、都度お金をチャージするシステムとなっている。
ベトナムでは、カフェが最大の娯楽?
ベトナムは長きに渡りフランスの統治下にあった。街には統治下時代の歴史文化が色濃く残っていて、そこかしこに洒落たカフェがあり「プチパリ」「東洋のパリ」と称される。店内では若いベトナム人が、揃ってパソコンやスマートフォン、iPadをWi-Fiにつなげてオンラインゲームやスカイプを使った会話をしている光景をよく目にする。
彼らにとってカフェはとても身近な存在だ。そしてWi-Fiのお陰で重要な娯楽の場所となっている。
実は置いてきぼり?日本の携帯事情
日本でも最近は携帯電話本体とSIMカードを別売りする、いわゆる「白ロム」が出回り始めているが、ベトナムではすでに10年以上前から白ロムなのだから驚きだ。
仮にも先進国と呼ばれる国なのに、まだまだ発展途中であるベトナムに置いてきぼりをくらっているのだ。
日本の携帯電話会社がうたう「機種代ゼロ円・パケット定額」のような料金システムは、一見お得な気がする。だが実はとても非合理的で、時代遅れなものなのかもしれない。
(古川悠紀)