フランスの親は子供にどのような名前を付けたがるのか。日本では男児が「蓮」、女児は「結衣」がもっとも人気ある名前(明治安田生命保険『生まれ年別の名前調査 2012年』)だ。
またキラキラネームと呼ばれる、漫画やアニメ、ゲームの登場人物や外国人名に当て字した難読な名前もしばしば話題に上るが、フランスでは昔ながらの名前が今年のトレンドだ。

仏名付け本『オフィシエル・デ・プレノン 2014』によれば、男児の1〜10位はナタン(Nathan)、ルカ(Lucas)、レオ(Leo)、ガブリエル(Gabriel)、ティメオ(Timeo)、エンゾ(Enzo)、ルイ(Louis)、ラファエル(Raphael)、アルチュール(Arthur)、ユゴー(hugo)の順、女児の1〜10位はエマ(Emma)、ロラ(Lola)、クロエ(Chloe)、イネス(Ines)、レア(Lea)、マノン(Manon)、ジャッド(Jade)、ルイーズ(Louise)、レナ(Lena)、リナ(Lina)だそうだ。

男児はガブリエル、ラファエル、アダム(Adam)、ノア(Noah)など旧約聖書に登場する名前に人気が集まる一方で、ティメオやテオ(Theo)など末尾に母音が重なる名前も善戦する。女児は復古調が好まれ、加えてロラ、レア、レナ、ローナ(Louna)、リナ(Lina)など、「L」から始まり「A」で終わる名前も多く付けられている。

南部が仏語圏である隣国ベルギーと比べてみよう。マタニティ関連贈答品を扱う「ラ・ボワット・ローズ」が集計する2013年の傾向は、男児の場合、テオ(Theo)、ルイ(Louis)、ユゴー(Hugo)、エタン(Ethan)、ナタン(Nathan)、ルカ(Lucas)、ノア(Noah)、ティメオ(Timeo)、アルチュール(Arthur)、トム(Tom)の順、女児はレア(Lea)、ゾエ(Zoe)、エマ(Emma)、カミーユ(Camille)、ルーシー(Lucie)、オリビア(Olivia)、クロエ(Chloe)、アリス(Alice)、クララ(clara)、ルイーズ(Louise)が1〜10位を占めた。


男児はナタン、ルカ、ティメオ、アルチュール、女児はレア、エマ、クロエ、ルイーズと、10位以内でフランスと人気が共通する名前も多い。

ドーバー海峡を渡って英国へ行くとどうなるのか。今年8月に発表された英国家統計局の2012年集計によれば、男児の1〜10位はハリー(Harry)、オリバー(Oliver)、ジャック(Jack)、チャリー(Charlie)、ジェイコブ(Jacob)、トーマス(Thomas)、アルフィー(Alfie)、ライリー(Riley)、ウィリアム(William)、ジェームス(James)の順、女児はアメリア(Amelia)、オリビア(Olivia)、ジェシカ(Jessica)、エミリー(Emily)、リリー(Lily)、アバ(Ava)、ミア(Mia)、アイラ(Isla)、ソフィー(Sophie)イザベラ(Isabella)と続く。

英国とフランスは歴史的に多くのルーツを共有しているものの、現代では傾向はずいぶん変わる。
(加藤亨延)