なぜか分からないけどやってしまうこと。その一つが、東海道新幹線に乗っていて富士山が見えると写真を撮ることだ。
ところが、新幹線の車窓から富士山を綺麗に撮影するのは意外に難しい。手前にある電線や鉄塔などが写ってしまうからだ。しかし、それが逆に面白いということで集めている人がいる。名前は原田専門家さんだ。以前、パーソナルな家紋「パ紋」の生みの親として紹介したこともある原田さんと一緒に「残念な富士山」の写真を鑑賞した。

■残念な富士山1
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

「うわ! この木さえなけりゃ!」な写真。


――いきなり残念ですね。富士山もションボリしてそうです。
「ボクが愛知に帰省する時に撮った写真です。天気も良いのにもったいない感じがしますよね」

■残念な富士山2
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

――惜しい! 電線が写ってます。
「しかも、太くて濃いから、やたらと目立ってます」

■残念な富士山3
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

――これも残念度が高い……。
「天気は悪いし、鉄塔はド真ん中に映ってるし、二重苦です」

――原田さんは、なぜ「残念な富士山」の写真を?
「そもそも、車窓から見える富士山が気になるようになったのは、漫画家の蛭子能収さんの影響です。
蛭子さんは富士山が好きで、新幹線に乗ると必ず富士山を見るそうなんです。だからボクも富士山の写真を撮るようになりました」
原田さんは「どのあたりを過ぎると富士山が見えるのか」「どのあたりだと綺麗な写真が撮れるのか」等を知りたくて、GPSを駆使して富士山が見える位置を調べたこともあったそうだ。
「富士山が見える位置が分かってきたのはいいけど、富士山自体を撮るのは案外難しくて……。でも失敗して色々なものが写りこんだ写真も面白いと気づいて、とっておくようになりました」
普通の人なら削除するものを原田さんは捨てないでいるのだ。

せっかくなので、私が撮った「残念な富士山」の写真も観ていただいた。

■残念な富士山4
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

――惜しい写真なんです。
撮れたと思ったのに、左下に電柱が見切れてたんです。
「電柱に悪意はないんでしょうけどね」

■残念な富士山5
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

――ビルの非常階段だけじゃなくて、左下に鉄柱も写ってしまって、まさに三重苦です。
「非常階段にも鉄柱にも罪はないけど、なんかもったいない」

■残念な富士山6
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

――電線が二重線のように写ってます。
「もはや、富士山が打ち消されてるようにも見えますね(笑)」

●高速道路から撮った富士山

高速道路からも富士山は撮影できる。原田さんによると、場所にもよるが新幹線よりも撮影しやすい場所は多いとのこと。
「ただし、防音壁があるので、そこがネックです」

■残念な富士山7
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

「悪くはないけど、ちょっと遠い感じ」

■残念な富士山8
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

「『シャッターチャンスだ!』と思ったら、いきなり緑が横切れました」

●うまく撮れた場合(新幹線の車窓より)

■嬉しい富士山
新幹線で撮った「残念な富士山」を集める原田専門家と残念な写真鑑賞

――やりましたね!富士山も嬉しそうです!
「綺麗に撮れた例ですね。
でも、ジャマなものが写ってないと物足りない気がします」

まさに「本末転倒」である……。

原田専門家さんは、車窓から撮影した「残念な富士山」の写真を募集中。ツイッター「#残念な富士山」にお気軽に。だいたい、どのあたりで撮影したかを明記してくれるとありがたいそうだ。ただし、新幹線の車内で撮影する時は、まわりの方の迷惑にならないようにしましょう。
(取材・文/やきそばかおる)

【原田専門家さんのサイト】
パ紋
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