人恋しい季節。漫画家の山本かなさんは、ネットで知り合ったアメリカ人の彼氏のアダムさんとゴールイン間近。
二人ともゲーマーで、アダムは早朝までプレイする日々。かなさんは2日間寝ないで『ファイナルファンタジー11』をプレイしたことがあるほどだ。新居での同棲を開始した二人に、円満の秘訣を聞いてみた。
ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣
イラスト:山本かな

――出会ったきっかけは?
かなさん「日本人と外国人を結ぶ、いわば”出会い系”でした。友達が教えてくれたので、最初は遊び半分で3年前に登録したんです。私は英語力がないので日本語が分かる人が良いと思ってプロフィールは日本語で書いて登録。
そしたら、めちゃめちゃカッコいい男(アダム)から返信があって……」
で、すぐに会ってみた……ということはなく、むしろ会わないようにしたという。
「格好よくて、日本語が話せて、日本の大学にも通ってて……。こんな人が本当にいるわけはないし、サクラだと思ったんです」
会おうと決心したのは、3回めの連絡が来た時のことだった。
「『ジャズのライブに出るから来ませんか?』って誘われて。演奏する側の人ならホンモノだと思って。それに、もしも危険を感じたら逃げればいいし」

アダムはアメリカの名門、ノーステキサス大学でジャズを専攻。
在学中に大阪の友達の元を訪れたことがきっかけで日本の魅力に惹かれ、大学を卒業した後6年前に来日した。現在は某芸術大学の大学院で音響心理を学んでいる。かなさんは3Dゲームのデザイナー兼漫画家だ。

――アダムさんはカッコいいから、出会い系に登録しなくても女性が寄ってくるんじゃないですか? なぜ、サイトに登録を?
アダム「かなに会うため」
私  「……」
開口一番、まさかのオノロケな答えに私は一瞬黙ってしまったが、それを察したのか、アダムはこう続けた。
「僕が人に声をかけると、ナンパだと思われることが多いから、なかなか友達すらできなくて、おもいきって登録したんです」
なるほど。納得したところで、二人に聞いた円満の秘訣を紹介。


【円満の秘訣は、彼氏が彼女を褒めまくる】


ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣

「アダムは『かわいい』『髪がきれい』『料理が美味しい!』など、すごくよく褒めてくれるんです」
感謝の言葉も多いそうだ。私はそれなりの年齢を重ねた人間(独身)なのだが、おもいきってこんなことを聞いてみた。
――アダムはどういう時に「かわいい」「キレイだね」と言ってきますか?
「なんでもない時に、自然な感じで言ってきます。出会い頭に言われたり……。アダムにとって『かわいい』と言うのは、ほとんど口癖みたいなものなのかもしれません」
ふとアダムの方を見ると、顔を赤らめていた。二人の様子を見て、思わず水を飲む私。
「アダムは『好き』とか『愛してる』という言葉もたくさん言ってくれます。
やっぱり、言われると嬉しいですからね~」
その言葉を聞いて、再び水を飲む私。あれ、もう水がない。すみません、お水をください。

【ケンカをしたら、彼氏が早めに謝る】


ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣

ゲームをめぐってケンカをすることがあるが、アダムはすぐに謝ってくるという。
「二人で一緒に『マインクラフト』をやってたら、私がつくった線路についてアダムがダメ出しをしてきたんです。結構、ひどいケンカになってしまって……。すると『ごめん』と謝ってきました」なるほど。
濃厚なオノロケ話であるが、彼氏が謝ることで雰囲気は一変して良くなるという。
ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣
プレイに熱中したりケンカすることはあっても、ケンカの後はスッキリと。


【変わっている点があっても、それが普通だと思う】


ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣

アダムはピザが大好物。かなさんがあきれるほど大量のピザを食べる。
「でも、3年も付き合ってると、それが当たり前と思うようになってきましたね。アダムはギャグマンガに出てくるキャラクターかと思うほど、ピザを食べるんです」

――アダムさん、健康的には大丈夫ですか?
アダム「大丈夫だよ。野菜がいっぱい乗ったピザを食べればいいから」
そうか、その手があったか。いや、感心している場合ではない。
ただ、これといってアダムの健康に悪いところはないそうなので、ひとまず安心だ。

お互いに濃い味が好きなところも一致していて、味の面での不満はないとのこと。
ただ、これはカップル間の問題ではないが、飲食店で出てくる食事について、アダムに不満があるそうだ。
アダム「値段のわりに量が少ない。焼き肉に行くと『これが一人前なの?』と思うほど少ないよ。あれって、どうなってんの?」
……かなさん、早いうちに、バイキングに連れて行ってあげたほうがよさそうです。

【二人の間にルールをつくらない】


これといったルールを作らないのも良いようだ。
かなさん「お互いが自分のペースで好きに生活しています。アダムがテレビを見ていて、自分はゲームをやりたくなったら、私は小型のゲーム機でプレイしますし」
お互いがゲームマニアなので、男女の片方だけがゲームマニアの場合にありがちな「いつまでゲームをやってるの!?」ということでケンカになることはないという。

そのほか、かなさんに聞いた円満の秘訣をざっとあげると……
・感謝の気持ち・愛情表現は沢山する。
・相手の意見を尊重する。
・自分の意見はちゃんと言葉で相手に伝える。

などなど、こういった感じだそうだ。※あくまでも、かなさんとアダムの場合です。

ちなみに、アダムは1時間に及ぶインタビュー中、終始流暢な日本語で答えてくれた。アダムに好きな日本語を聞いたところ
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「悪循環」
という答えが返ってきた。何かを勉強している時にこの言葉を知ったそうだが、この言葉が好きな理由は「自分でもよく分からない」とのこと。アダムの不思議な点は多々あるらしく、かなさんは見つけ次第、4コママンガのネタにできないか考えている。アダムの不思議な点を見つける→ネタにして漫画に→本に掲載だなんて、なんて「好循環」なんだ。
(取材・文/やきそばかおる)

●二人の詳細はこちらの本でも。
ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣


『ネットでゲット! 私の彼はアメリカン♪』
(山本かな著:ファミ通BOOKS刊)
アメリカンな彼と一緒にゲームのめり込んだり、外国人の文化に戸惑ったりする日常を、4コママンガとともに綴ったブログを書籍化。
ゲーマーなアメリカ人彼氏をもつ漫画家、山本かなさんに聞く円満の秘訣

『ゲームオタクなアメリカン彼氏2』(山本かな著)

同人誌として販売中。付き合って2年が経過……とうとうアメリカへ行きました。そんなお話も織り交ぜてお送りします。

●山本かな:漫画家/3Dゲームデザイナー/単行本などの執筆のほか、冬コミにも参加している/ブログTwitter