最近全米のメディアを騒がせている大学の「グリークライフ」。レイシストな歌を合唱している画像が表沙汰、急性アルコール中毒で死亡者続出等でニュースになることも。
日本ではあまり馴染みがないが、アメリカでは大学と言ったら「グリーク」は外せない、と思う学生が少なくない。

グリークライフはもともと、大学のエリートのみが入ることを許される秘密結社のような組織。いまでは、日本の大学で言う、テニスサークルやオールラウンド系サークルのようなものかも知れない。 一般的に「良い印象がない」「酒盛りばかりしてそう」「実際なにか活動しているの?」「チャラい」というイメージは、アメリカの男子大学生のグリーク「フラタニティ」と似ている。

アメリカ人学生が、ギリシャ文字「ΑΣΑ(アルファ・シグマ・アルファ)」「ΚΔ(カッパ・デルタ)」のようなロゴが入ったTシャツやスエットを着ているのを見た事がある人はいないだろうか? そう、それこそがグリークライフのグループ別の名称だ(ラテン語やギリシャとは今では全く関係ない)。
日本の大学でいうところの「サークル」、米国大学では?
ノースウエスタン大学のフラタニティー

グリークライフには、誰でも入れるわけではなく、一定の必要条件を満たした者だけがメンバーになれる厳しい入会審査があるらしい(団体それぞれの趣向があり、その必要条件もそれぞれが違う)。


フラタニティは男子学生の団体で、ソロリティーは女子学生の団体だが、秘密結社のような存在だったという伝統があり、ノースアメリカ・インターフラタニティ・コンファレンスによると、全米にはフラッタニーだけでも5,500くらいは存在しているという。

メンバーの多くはアメリカ社会における数々の分野で成功をおさめていて、長い間アメリカの教育システムと結びついていると思っている人が多い、というのも興味深い。
スティーブン・スピルバーグ、ハリソン・フォード、マイケル・ジョーダン、ケビン・コスナー、アシュトン・カッチャー、ブラッド・ピットなどもフラタニティ出身。
ソロリティーだと、トリー・バーチ、シェリル・クロウ、ケイト・スペード、ベッツィー・ジョンソン、ミッシェル・ファイファー、キャシー・ベイツなど。
日本の大学でいうところの「サークル」、米国大学では?
ノースウエスタン大学のフラタニティー

地域奉仕活動やリーダーシップのような行動理念への献身的な目的があるクラブ的なものなので、各サークルそれぞれ決まったルールや暗号などがある。個人の学業成績も影響するので、勉学にも気を抜けず、大学生活も忙しいものになるようだ。


「寝食を共にする」という点が日本のテニスサークルと大きく異なるが、大きな家にフラタニティだったら男子学生が一緒に生活をする(ソロリティーだったら女子学生同士)。
メンバー同士を兄弟、姉妹と呼び合い、イベント運営やミーティングもその場で行われる。固い結束を強調するための環境で数年寝食を共にすると自然と兄弟意識もできるのだろう、これで一生涯の友人ができるらしい。卒業後もメンバーシップは切れる事がない。

大学キャンパス内の各家々には大きなギリシャ文字を掲げ、それぞれの団体をアピールしている。
各大学に支部として存在する全国組織なものが多く、入会すると雪だるま式に兄弟が全国に広がるという利点があり就職にも有利だと聞いた事があるが、実際のところはわからない。

日本の大学でいうところの「サークル」、米国大学では?
ノースウエスタン大学のフラタニティー

日本のテニスサークルの評判が悪いのは一部のことで、アメリカのグリーク悪評も一部の事だと思う。なにはともあれ、アルコールはほどほどに、学生生活は思いっきりエンジョイしてください。
(シカゴ/あらた)